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桃山人夜話―絵本百物語 (角川ソフィア文庫)

価格: ¥7,670
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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本書を知らない人でも「小豆洗い」は見たことがあるはず。 ★★★★★
本書は三つのパートに分かれていて、第1章は画図編。図版は1ページ1枚で全44枚、カラーです。図版の出来は良いです。淡くて渋い色づかいがいい感じです。第2章は翻刻編。「桃山人」がそれぞれの妖怪について書いたエッセイ風の文章の原文と、画家の春泉が画面に書き込んだ短文の原文を活字化。これが53ページから119ページまで。第3章は現代語訳編で、第2章の内容を現代語訳したもの。翻刻と現代語訳は越後敬子さんという方の仕事。読みやすくて親切な訳だと思います(*)。最後に多田克己氏の短い解説が付いています。解説では、文章が先にあって、後から絵が付けられたように書かれていますが、これはどうも逆のような気がします。
 
絵を描いたのは竹原春泉で、文章を書いたのは桃山人。桃山人がどういう人なのかはよく判らないらしいが、本文を読めばたいした人物でないことはわかります。人から聞いた話や本で読んだ話を紹介しつつ、最終的には独善的な教訓話にお説教という、新聞のコラムみたいな文章を書いています。
しかし素晴らしいのは絵です。むしろ文章よりも絵の方が物語性に富んでいます。「二口女」の後頭部についた口が、髪の毛を手のように自由自在に操りながらお菓子(?)をうまそうに食っている様子。「塩の長司」が馬を飲み込む場面の "シュール" な描写。恐いのか滑稽なのかよくわからない「豆狸」。「山地乳(山父)」にキスされている男のうっとりと幸せそうな顔。妙に楽しそうにはしゃいでいる「舟幽霊」たち。火を吐く巨大なニワトリの化物「波山(バサン)」のアール・ヌーヴォーのような洗練された描線・色使い。「帷子辻」は路肩に放置された美女の死体をカラスがつっついている場面だが、赤を使わずにまるでドイツ表現主義映画の一場面のように、夢の記憶のようにしかし生々しく描いている。
  
天宝12年に本書が刊行された時のタイトルは『絵本百物語』で、副題が「桃山人夜話」だったそうですが、この角川文庫版では『桃山人夜話』になっています。「あえて副題の桃山人夜話を主題に用いたのは、妖怪研究者たちの間では、桃山人夜話の方がなじみが深いからにほかならない」(解説)ということですが、本書の価値はあくまで竹原春泉の絵にあると思うので、そんなに研究者に気を使わずに、素直に『絵本百物語』としてもよかったのではないかと思いますが、そうすると「100物語とあるのに44話しかないじゃないか」と、こんどは読者から苦情が来たりするのかな。
 
(裏表紙の惹句によると、作家の京極夏彦氏が直木賞受賞作『後巷説百物語』で本書をテーマにしておられるのですね。知りませんでした。有名な方なので、知らなかったのは私だけでしょう。)
 
*「第四十三 夜の楽屋」に出てくる人形師「土斎」の和歌、
 捨てねども家こそでくの坊主なれ鬼も仏も手づくねにして
を、訳者は
 決して捨てはしないが、家というものこそ役立たずの人形である。鬼も仏も手で土をこねて作った、魂のこもったものであるのに比べると
と訳しておられますが、ちょっと意味がわかりません。これは「出家はしたが、世を捨てたというわけではなく、でく人形を作って暮らしている私は役立たずのデクノボーな坊主である。しかしデクノボーズである私は鬼も仏もこの手でこねて作り上げることができるのだ」というような意味ではないでしょうか(家を出るの「で」と、でくの坊の「で」、でくの坊の「坊」と坊主の「坊」が掛かっています)。
白蔵主から舞首まで、四十四もの妖怪達がカラーで集結! ★★★★★
第一章で絵本百物語の妖怪画をオールカラーで収録。
続く第二章で、絵では読み辛い文字部分を活字にしてあり、
更に第三章では、二章の文を現代語に訳して説明しています。
古文に疎くても内容が理解出来る様、配慮が為されている事や、
安価でコンパクトな文庫本のため、気軽に手に取れるといった点を
総合した結果、最高評価とさせて頂きました。
お買い得です ★★★☆☆
京極夏彦でおなじみの妖怪がぞろぞろ出てきて楽しめました。単行本もありますが、個人的にはこの本の内容と価格ではこちらの方がずっと割安感がありました。
文庫本ならそんなに高くないので、鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集とあわせて揃えて読み比べをすると面白いです。
江戸時代の百物語 ★★★★★
 画図百鬼夜行と並ぶ妖怪画集の有名どころです。諸国の怪奇談に挿絵をつけたという形式で描かれているため文章もしっかりしており、妖怪好きの人は読み物としても楽しめるでしょう。妖怪画集に興味のある人には一読の価値があると思います。