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妖怪談義 (講談社学術文庫 135)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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妖怪とは何か ★★★★☆
 柳田国男が妖怪について書いた文章を集めたもの。初版の発行は昭和31年だが、書かれたのは明治42年〜昭和14年くらい。
 妖怪と幽霊の差、お化けの呼び名、河童、山人、一つ目、天狗などが取り上げられている。いずれも民俗学の視点から妖怪を分析したもので、焦点となっているのは妖怪を産み出すような人間の心性と、地域による偏差の問題である。なおかつ、研究途上で書かれたものが多いので、妖怪ファンの人には向かない一冊かも知れない。
 柳田の民俗学が組み立てられていく過程をのぞき込むこととができ、なかなか面白かった。
明治から昭和の頃に蒐集した妖怪伝承の記録 ★★★☆☆
日本の思想史に興味があって、素人の気安さで、ここ数年いろいろと拾い読みをしている。
柳田國男、宮本常一、網野善彦らに代表される民俗系の歴史学は、正史すなわち為政者が編纂した政治史からは読み取れない、信長でも秀吉でも家康でもない、何の変哲もない日常を生きたごく普通の昔の日本人を浮き彫りにする。

本書は書き下ろしではなく、明治の終わりから昭和初年ごろに書かれた、妖怪伝承に関する多数の短い論文を編んだものである。河童、座敷わらし、やまんば、天狗など代表的な日本の妖怪について全国から収拾した伝承を記録するというのが本書の基本的なスタンスである。日本中から蒐集した妖怪の名前リストというのもある。

したがって、天狗や河童がかつての日本人の精神世界の中でどういうポジションを占め、近年の都市化の中でどのようにリアリティを失っていったのか、という考察はほとんどない。この点が残念である。また、挿絵ひとつあるわけでなく、単なる妖怪好きという方にとっては、水木しげるの妖怪辞典のほうがよい。(といっても、いまネットでみると既に絶版、古本で6万円近くする。びっくり。)

日本人の精神史という観点でも、妖怪大好きという観点でも、いまひとつ欲しい情報が得られなかった。
読み物としても面白く、学術的な価値もある ★★★★★
日本全国の妖怪話を集めて本格的な分析を加えたもの。
一つ一つの話そのものが面白いのだが、それに加えて著者の分析の見事さに
息を呑む事もしばしばで、知的な満足も得られる。

主軸を成している考えは、妖怪とは貶められた古い神々であるというもので、
本書の意義はそうした太古の宗教的な価値観をいささかなりと
蘇らせるところにあると言える。

僕が読んでいて最も楽しかったのは、「呼びかけに応じると背中にずしりと
黄金を背負わされる話」だ。日本全国になぜかこのバリエーションが山ほどあるらしい。
分からない所が多々ある ★★★★☆
P101「小豆洗い」で『郷土研究』に書かれた他人の意見に対する氏の見解などもあるが、だったら、その文章を引用で示して欲しい。
柳田氏の意見だけではよく分からない。
又、
この本の文章の進み方は、起承転結ではなく、つれづれなるままに、という感じで
「結局何が言いたかったんだ?」
と、もう一度読み直してしまった項もあった。

しかし、
妖怪についての現実的な研究という点では、読むに値するすばらしい著書である。
古事記の神々を歴史に照らし合わせるように
妖怪だって現実の何かがそれを思わせたものだろう。
妖怪についてさらに深く考えさせられる書物であった。
妖怪と言えばまずこれ ★★★★★
昭和31年に出版されたものの文庫版。
ザシキワラシ・小豆洗い・天狗等、タイトル通り妖怪についての考察である。
書き出しのところで著者は、オバケ(化け物)と幽霊を混同する人が多いことを嘆いている。
その違いは、

・オバケは出現する場所がたいてい決まっており、避けてそこを通らなければ一生でくわさずに済ますこともできる。
対して幽霊は、足が無いという説があるにの関わらず、てくてくと向こうからやってきて、狙われるとどれだけ逃げても追いかけてくる。そんなことはオバケにはまず無いらしい。
・オバケは相手を選ばないが、幽霊は特定の人間だけに思い知らせようとする。

この二点である。

また、黄昏時はオバケに出会いやすいという。
古い日本語では黄昏のことをカハタレといい、もしくはタソガレドキと言っていたのは、「彼は誰(カハタレ)」「誰ぞ彼(タゾカレ)」が固定した形らしい(誰かわからないような者に出会う時間帯ということか)。
そのため黄昏に道を歩く人間が、互いに声を掛けるのは単なる礼儀ではなく、自分が化け物でないということを証明する儀式であったようである。

各々の妖怪について触れてある箇所ももちろんおもしろい、というかそれがメイン。
妖怪に興味がある方は是非どうぞ。