インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

月と日本建築 (光文社新書)

価格: ¥1
カテゴリ: 新書
ブランド: 光文社
Amazon.co.jpで確認
建築史や庭園史に興味のある方へ ★★★★☆
桂離宮は月を観るために造られたと言われています。口絵にも掲載してありますが、月見台から池を通して見る月はまさしく観月に相応しい建物でしょう。タウトが桂離宮の簡素な美の極致について見事に解析し絶賛して以来多くの建築史家がこの建物に言及しています。

宮元健次氏は、庭園史に関する著作を多く表わしており、本書も学術的な批判に耐えうる著述の正確さと文献史料に裏付けられた推論の確かさが特徴と言えると思います。

桂離宮の成り立ちについて文献を引用し、図版を使用しながら、詳しく解説しています。当時親王だった智仁、智忠父子の生涯をたどりながらその置かれた立場や境遇と桂離宮へ向けた情熱が描かれていました。

月の出が観たいという所から出発した楼閣建築の実例を交えながら月と建築の関係を解説しています。金閣・銀閣・西本願寺飛雲閣という三閣を対比しながらその後の楼閣建築の発展を述べていました。修学院離宮の寿月観も紹介しながら、月を観るための努力や工夫例は分かりやすい説明でした。飛雲閣の舟入と指月城、伏見城からの移築伝説を裏付ける話も知的好奇心を満たすものでした。

タウトに批判された日光東照宮と桂離宮との造営関係の類似性に言及し、「1つの時代における勝者と敗者のシンボル」だと結論付けているのは慧眼でしょう。

2畳しかない妙喜庵待庵を利休が秀吉に突き付けた理由を「朝鮮」というメッセージに結び付けた説は興味を惹きました。ソウル郊外の潜りの形式、利休の茶碗を焼いた朝鮮出身の長次郎、「高麗囲い」などが、秀吉の「高麗攻め」の計画と関係があるとしており、宮元氏のダイナミックな捉え方は流石に面白いですね。
そうだったんだ!!と納得の建築史(笑) ★★★★★
同じ作者の「龍安寺石庭を推理する」(これもいい本でした)を読んでいたので、読んでみました。
今回は桂離宮を中心に、銀閣寺や伏見城などが取り上げられています。

う~ん…桂離宮だけを取り上げて欲しかったかな~(笑)でも、月と日本建築の結びつき、というテーマに沿ってこれらの建築を取り上げていく展開には、ふむふむ、なるほど、の連続。桂離宮(さらに第5章の銀閣寺)が建てられた目的や経緯が謎解きされていく面白さに、目から鱗。特に銀閣寺の箇所では、思わず納得!中学生時代の修学旅行の時に思った「なんか嘘っぽ~い(笑)」印象の原因がやっとわかりました(爆笑)
巻末の参考文献一覧もうれしい限り。
でもこの本、桂離宮全体の見取り図とか、ついてないんです…(涙)これから読む方は、別に見取り図とかを用意してから読みましょう。

ちなみに、この本の筆者による「図説 日本庭園のみかた」「図説 日本建築のみかた」の二冊にはそれぞれ、桂離宮の見取り図が載っています。丁寧な見取り図なので、なかなか便利です。まあ、ちょっと小さいのが不満だけど…(笑)