思考する知と行為 それがデザインだ
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リアリティをデザインするために、3人が紡ぐ思考の痕跡
鼎談(ていだん)を基本にしつつも、各パートに合わせて、
司会者が入れ替わるようなカタチで進行する。
建築から学ぶデザイン、デザインから学ぶ建築、その2つだけが
本書のエキスかと思っていたが、巻末のカール・マルクスのこの言葉が
出てきた時点で、一気に幅が広がった。
「哲学者たちは、世界をざまざまに<解釈>してきたにすぎない。
肝心なのは、世界を<変革>することであるのに」
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身体的知覚の定着化
接触を楽しむ行為、そのものにヒントがありそう、
時代時代で変化する洗練さの価値を見出せる。
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意識を発見する
内側と外側の張り、力の加減がアイデアのようだ。
無意識の記憶を刺激するデザインを学ぶ。
行為の痕跡を探し、遊ぶ。
直感の正体
現代人は、モノと人の関係性や
距離感覚を意識する能力が、弱まっているのか?
mixiなどのSNS、ツイッターによる情報把握にもあてはまる、
誰が何処で何をして、何を考えているか、その情報は本当に必要なのだろうか?
存在感の無いモノを求めるのは、
雑音が多い時代ならではだ、と言う。
不純物を濾過して取り除く。
想像力のみに頼ると、他者性が欠落するようだ・・・
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巻末のブックガイドは、深澤直人さん、後藤武さん、
両名のみのキーワード付き解説が役立つ
デザインの本質的な行為を紹介してくれている
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映画や小説や絵や彫刻などの表現作品はどのように評価するのか。という問いに対する答えは存在しないと思っている人が多いのだが存在する。一つの価値観のベクトルとしてではなく全てのベクトルの基礎としての無ければならない要素という意味で。
つまり、その対象に対して確かにそうだという感覚があるかどうかだ。リアルであること。
メッセージを送るというよりも、リアルをそのまま取り出すということ。
これをものづくりの基本として徹底的に提示しているという本は無いような気がする。
メッセージをどぎつく演出して相手に暴力的な命令とさえ思えるようなプレゼンテーション。相手を徹底的に貶め自分の価値を高める情報操作方法としてのクリティカルシンキング。相手の意見を徹底的に否定しつくして立ち直れなくするディベート技法。そのようなものに価値を置く社会においてこの本は貴重であると思う。
東京書籍が出版社であるから教科書と名付けるのはしょうがないと思うが、教科書のようにデザインの基本的な対象を紹介している本ではなく、もっと本質的なデザインの基本的行為を紹介してくれている。絶対に読むべき本の一つだとさえ思える。素晴らしい。一文一文を味わいつくして読もうとできる良書。
モノとワタシという閉じた枠組みから脱却する刺激を与えてくれる良書
★★★★☆
かなり強引なあらすじを書くと、人とモノとの関係性書いたもの。
デザイン本の多くが実体験もしくは美術史とカテゴライズと少々の分析に終始しがちなのに対して、この本では人がモノをどのように捕らえるかを中心に書いてあります。
ある意味、核心をぶち抜くモノだと思います。
が、扱う内容自体がこの本一冊で収まるシロモノではないので、これ一冊で満足するのではなく、これを足がかりにして心理学だったり社会学だったりデザイン論の枠を超え、人と物との関係延いては人と人との関わり合いとしてのデザインを考えるよい起爆剤になりえると思います。読んでみて考えさせられました。
サブタイトルには疑問があるが..
★★★★☆
アフォーダンスという理論と、それの広がり、受け入れ方という点では、三人の著者がそれぞれのフィールドから論を展開していて、大いに参考になった。デザインに携わる者、教える者は読んでおいて損はないだろう。しかし私はサブタイトルの「教科書」という文字に惹かれて読んだのだが、これには大いに疑問が残る。内容は、著者たちの見解の、ある程度の一致に終わっていて、「教科書」と呼べるものではない(少なくとも、講義で「教科書」としては使えない)。ただしこのことは本書の良さを損なうものではなく、自ら行ったり教えたりするデザインに対する認識を、あらためて考えるよい契機となる著作であろう。
プロダクトデザインの視点が少し広がり始める本
★★★★☆
深沢直人さんの作品で、「ありそうだけどなかった」というものが多いですが、その思考を佐々木正人氏のアフォーダンス論で解明されていく。深沢さんが丸裸にされていく様が非常におもしろかった。アフォーダンスを読み解くには、深沢さんというフィルターを通すとわかりやすい。アフォーダンス理論の入門書としてもよいのでは。