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進化から見た病気―「ダーウィン医学」のすすめ (ブルーバックス)

価格: ¥994
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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生誕200年ダーウィンの名がすたる ★★★☆☆
何事にせよあやかって世に出る書物の数は質と無関係らしい。この本から「ダーウィン医学」の文字を取り去れば、新しい視点があるわけでもなく、病気のメカニズムをせいぜい一知半解程度に解説した内容しか残らない。帯の「風邪を薬で治そうとするとぶり返しが起こりやすい」ことの生理的理由など、ブルーバックスを手にするような、科学リテラシーを備えた読者にはいまさらであろう。さらに、別レビューにも書かれているが、生物学が医学に無批判に干渉して生じる危険な空気すら感じる。同じ生命科学でも、種の維持という観点を重視する生物学と、個人の生命を救うことを絶対視する医学との断絶は、「ダーウィン」という便利な名前で埋められるほどお気楽とは思えない。さらに、歴史上出現した進化論を振りかざす危険な思想に、著者は都合よく目を閉ざしているのか。それだけではない。鳥類が「前肢を羽に変えて空に飛び上がるために、二足歩行にならざるを得なかったようにも見える」のは著者だけのようで、獣脚類の一部は鳥類に進化するはるか以前から二足歩行していた可能性が高いことは、恐竜好きなら子供でも常識の範囲だ。「おわりに」で「随所に間違いや思い違いが紛れ込んでいるかも知れない。もちろん、そうした点についての責任は全て筆者ひとりにある」と断ってあるとはいえ、正しくダーウィン医学を推進している医師や研究者は困惑しているのではないか。ダーウィンとおぼしき老医師がマスクをした猿を診察しているかに見える表紙絵に至っては「猿が進化してヒトになった」という進化論の根本にかかわる曲解を面白がってどういうつもりか理解に苦しむ。この本を伝統ある講談社ブルーバックスの一冊に加えた「多少軽はずみな人間」はご自分の責任をどのようにお考えなのだろうか。
わかりやすい本でした ★★★★☆
いろんな病気がなぜ起こるのかを進化という観点をからめて解説しているものです。病気も感染症から生活習慣病、遺伝病、さらには先端医療について語っています。
原因についてはよく知っているものが多かったのですが、まとまっていてよかったと思います。
風邪を寝て治すのも合理であることを確認させてくれた本 ★★★★★
 風邪で熱が出た時、注射で熱を強制的に下げると体調が悪い状態が長引くため、余程のことがない限り、「早く帰って寝る」を対処方法としてきました。「こういうのは私だけだろうなあ・・」と考えていたのですが、本書で「そういう対処方法もひとつの合理である」ことを知り、納得できました。
 研究過程のものとして「うつ」についても触れられていますが、現代の病気とその治療法について色々と考えさせられる本です。
 北大の科学技術コミュニケ−ター養成ユニットのスーパーバイザーを務める著者によって書かれた本書、読みやすさにも配慮されています。
病気も進化の賜物 ★★★★☆
人体は極めて精巧にできているが、いちから合理的に設計して構成されたものではなく、長い進化の歴史において、それぞれの時代と環境に生き残るために間に合わせの改善を重ねてきた結果の蓄積である。したがって過去において都合のよかった遺伝子が、現在病気の原因となる不都合な厄介者になってしまうことはしばしば起こる。
本書は、病気の根源を生物の進化史の中に求め、どのような治療の仕方が自然の理に適うものであるかを解明していこうとする、「ダーウィン医学」と呼ばれることになった新しい考え方を紹介するものである。類書はいくつかあるようだが、本書はコンパクトにまとめられており、手軽に読める本としてお勧めできる。
「ダーウィン医学」の立場から是非考察して欲しいのは、東洋医学の信憑性である。東洋医学に現れる「経絡」だとか「つぼ」だとかいうものは、進化論の立場からどのように説明されるのだろうか。
「なぜ,病気がなくならないのか」という逆転の発想からスタートさせ,生物の進化というものの本質を考えていく。 ★★★★★
 理学博士である著者が,ダーウィンの進化論という視点から,人間の病気というものを再考した新しい視点の本。本書を購入したきっかけも,その斬新な発想がとても面白いと感じたからだ。まず,前半部分のウイルスの話はとても興味深かった。免疫システムなどある程度基礎的な知識はあったが,それでも私は生物学を大学で専攻していた訳ではなかったので,知らないことはたくさんあった。例えば,一言で「風邪」といっても,風邪のウイルスはものすごいスピードで進化しており,人間はそれに対して抗生物質や抗ウイルス剤などで対抗している。それがずっと続いているというのが本質的なことだ。また,ウイルスにとっては寄生している人間が死んでしまっては意味がないので,死なない程度にしておいて,くしゃみなどで広範囲に感染させることがウイルスに取ってはメリットがあるという話も面白い。また,人間の免疫システムは,自分の体内に入ってきたウイルスが有害なのか,無害なのか様子を見て,有害であれば攻撃するというのもすごいと感じだ。そして,無害で,かつ人間にとって有益なものであれば,大腸菌などのように,そのまま攻撃しないでおくというのには,驚いた。そういうとても複雑な反応を,すべて人間の無意識下で行っているわけなのだから,生物というのは,本当に奥が深いなとつくづく思う。さらに驚いたことには,サルはエイズ・ウイルスとすでに共生しているという。人間が,エイズで死んでしまうのは,人間にエイズ・ウイルスが感染してからまだ時間が経っておらず,免疫システムが進化していないことが原因と考えられるようだ。だから,将来的には,免疫システムが進化すれば,エイズ・ウイルスと共生できるようになるのかもしれない。
 そして,人間の病気がなぜなくならないのかということについて触れている部分は,特に考えさせられた。生物学的に考えて,有能な種を残すためには,無能な種は自然淘汰されなければならない。実際に,人間以外の植物や動物については,人間はまるで神のように彼らを好きに交配させ,人間にとって有能な種を作り出している。しかし,話が人間自体になると,それはひっくり返る。つまり,人間の基本的人権という観点から,そのような選別は絶対にしてはいけないということになっている。私自身もそれは間違っていないと考えている。しかし,話が生物の進化ということになれば,そのような発想は,人間の進化を阻害しているということにも繋がるという考え自体も,一理あると思う。10年後とか,そういう近い未来の話ではなくて,1万年後の人類というものを考えたとき,もしかしたら,私達は人間という種を自ら淘汰させる方向へと舵を切っているのかもしれないとも考えてしまう。
 科学技術が進歩し,人間が遺伝子にまで手を加えることができるようになった現代では,まさに人間の進化すらも人間がコントロールできるようになってしまったと言っても過言ではない。だからこそ,倫理的観点を失うことなく,今後人類がどうあるべきなのかという,長期的な時間を見据えた判断というものが必要になってくるのだろう。しかし,著者も認めている通り,このような発想は,まだまだ議論されておらず,今後の課題として,真剣に議論していかなければならないだろう。
 人間は,誰しも主観的に物事を考えがちである。風邪やその他の病気も,とにかく現代医学は,その症状を緩和して治療することを主目的としている。それは,もちろん必要なことで重要なことであるが,「なぜ,病気がなくならないのか」という逆転の発想からスタートさせ,生物の進化というものの本質を考えていくというのも,最終的には人間の病気の本質を追究する手助けにはなるのではないだろうか。