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親指はなぜ太いのか―直立二足歩行の起原に迫る (中公新書)

価格: ¥924
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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400万年前、人類は「ボーン・ハンター」として誕生した!! ★★★★★
 我々人類は地球上に誕生以来、元々、何を食ってきたかを教えてくれる名著である。それどころか、このご本はちょっとソコラの本とは全く次元が違う、大傑作と言っても過言でない位のご本である。「ニッチ(Niche)概念」と「口と手連合仮説」がこの著作のキーポイントである。ニッチとは、簡単に言えば、「特定の主食」である。「口と手連合仮説」とは、「霊長類ではその種の口と手の形が主食を決定する」という仮説である。
 
 人類は臼歯のエナメル質が異様に厚く、犬歯が縮小して歯列が平らで、すり潰しに適しており、頑丈な顎としっかり握りしめる手を持っている。この口と手の特徴に対応したニッチ(Niche)とは一体何か??島博士によれば、拇指球と小指球の間に出来る窪みには石が収まるというのである。そして、すり潰すべき極く硬い物とは骨だという。そう、人類のニッチ(Niche)は骨、骨髄であったのだ。拾い集めた骨を石でかち割って、中の骨髄、海綿骨を掻き出し、それを啜って食べていたという。400万年前、人類は「ボーン・ハンター」として誕生したのだ。しかし、「ハンター」といっても、狩猟ではなく、「骨・死肉あさり」であった。その証拠に、タンザニア(人類発祥の地)には、ハザ族という現在でも骨・骨髄を常食する部族が存在する。この大地溝帯の周辺は、200万年前から基本的な生態系が変わっていない。従って、ハザ族の食い物は初期の人類とよく似ていると考えられているのだ。初期人類は1日に必要なカロリーの60%を骨髄から得ていただろうと推測されている。
 
 「片手には石を、もう一方の手には骨を持ち、立ち上がる、そして歩き出す。」なんとドラマチックな表現だろう。博士の「口と手連合仮説」によれば直立二足歩行も「必然」なのだ。何という壮大かつ美しき理論だろう。全く反駁不可能である。 私はこのご本を2007.11.04.に購入し、その高度な内容に大層感激したのだが、その直後の11/30に発行された釜池先生の著作『医者に頼らない! 糖尿病の新常識・糖質ゼロの食事術 かまいけ式でスローエイジング!』で、先生もこのご本を大変参考にされたと同著内で書かれていたので、これにも魂消たのである。釜池先生は人類誕生(400万年前)以来、農耕を始める(1万年前)までの長い長い間、我々のご先祖は、一体何を食べてきたかに非常に興味があったと述べておられる。そして、このご本には、正にその答えが書かれていたのである。その釜池先生も着目するのキーポイントは、「骨髄、海綿骨には糖質は皆無である。」という点である。そう、人類の主食・ニッチは本来「糖質ゼロ」なのだ。まさしく釜池理論の原点である。

 時代はずっと下って1万年前、人類は農耕を始め穀物に手を出した。各地に文明が芽生え、人口が爆発する基盤が固まった。サバンナのスカベンジャー(scavenger)から万物の霊長;地球上の盟主様への大出世である。しかし、これと引き替えに、人類は大きなリスク(糖質という老化の元、万病の元)を背負い込んだ。しかも、恐ろしい事にそうとは全く知らないうちに。人類がこの不都合な真実に気付くのには、21世紀になるのを待たなければならなかったのである。現在の人類は、過剰に発生した活性酸素(フリーラジカル)の消去(スカベンジ)と、過剰に摂りすぎた糖質の処理に四苦八苦、本当に難儀しているのだ。その結果、様々な病気(癌・悪性腫瘍、アルツハイマーなどの変性疾患、メタボ、糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病、アトピーなどのアレルギー疾患、リューマチなどの自己免疫疾患、などなど挙げ出したらキリが無い)が発生し、本来の寿命がどんどん短縮し、人々に次々と不幸災難が降りかかっているのだ。確かに、文明を築き地球上の盟主様になれたのは、誠にお目出たい事なのだが・・・。
 人類学、進化学に興味のある方のみならず、本来の食生活、健康長寿に関心のある方にもお勧め出来る傑作中の傑作である。是非是非、ご一読を。


いつか箸を持ちやすい形に指は変わるのだろうか ★★★★☆
島泰三氏の『はだかの起源』が面白かったので、他も読んでみようと手に取った。

サルの仲間の手の形は似ているようでもずいぶんちがう。人間のように親指が手のひらに向かい合う形になっていて、しかもこんなに太くてしっかりしているものはない。では、なぜ人間の親指はかくも太いのか。

たとえば、アイアイの手は中指が異様に細く長い。この指を使って主食であるラミーの果実の種をほじくって食べる。著者は世界ではじめてこれを観察して、手の形は主食を食べるのに有利なように進化した、という説を立てた。人間はサバンナに転がっていただろう骨を石で砕いて食べていた(骨食)。そのために石を握りやすい手の形になった。親指が太いのはそのためである、と著者はいう。

食事が肉体の形態を規定する、というのはわかりやすが、サバンナで骨をひろって食べていたのは100万年も前の話である。アジア人は箸を使い出して5000年ほどたつが、いつか、箸を持ちやすい形に指は変わるのだろうか。もしくは、パソコンでキーボードを打ち出して20年ほどたつが、いつか、もっとキーボードを打ちやすい指に変わっていくのだろうか。

『はだかの起源』とは違って専門書なみに密度が濃く、サル学に詳しくない一般人にはかなり歯ごたえがあるが、それなりに知的好奇心を刺激される一冊であった。
面白い本であった。はたしてヒトの祖先は ★★★★☆
 学校で習った「ヒトが二足歩行し、道具をもち…」の話しがまな板に
あがる。確かに、なんの根拠もない定説なのだろう。骨が主食の可能性
についても頷ける、そして、そのために道具を握り、指の形が物語って
いるという。そのため、類人猿の手の形を丹念に実証的に説明をする、
ほぼ、この説明が本を埋め尽くす。できれば、先にヒトの話をもってき
てほしかった。ヒトは違うが、鼻が脳の冷却装置の機能があることを知
った、随所にこんな面白い話が挿入されている。
※と、構成で星マイナス一つ。
斬新で意表をつく視点に脱帽! ★★★★☆
 著者は自称独立派をもって任ずる行動的人類学者だが、彼はマダカスカルのアイアイという原猿が、その細長い奇妙な中指でラミーという果実の種の仁をほじくって食べるという生態をはじめて確認したことで知られている。それまではなぜ細長い中指を持つのか、その理由がわからなかったのである。結局彼はサルが種族によって異なった指を持っているところから敷衍して、ユニークで説得力のある「直立二足歩行仮説」を提示することになった。
 サルがヒトになる過程における大きな通過儀式には、この直立二足歩行と被毛を失うという2つがある。もちろんこの直立二足歩行を始めた理由について、過去多くの学者が仮説を提示してきた。曰く「狩猟・肉食説、種子食説、腐肉漁り説」などなど、なかには大脳を冷すためだとか、ちょっと眉つばなものまであるのだが、その中で彼が提示した「口と手連合仮説」は、腐肉漁り説から一歩進めた「骨猟(ボーンハンティング)仮説=B.B.ポルシェネフ)」を援用して、獲物とそれを割る石器を持ち歩いたためだという。ヒトは直立と共に犬歯を失っているが、それが骨やその髄を食べるために進化したのだという。 たしかに犬歯をなくすと、下顎が前後左右に動いて骨などに咀嚼に適応出来る。彼は実際に固い骨をかじって実験するのだが、上達すれば骨をどろどろに噛むことが出来るのだという。
 そこから独断&偏見的仮説でさらに敷衍すれば、「かくしてユニークな歯の形状を獲得したヒトは、なんでも?食べられる超雑食性に進化して世界上に分布できた」のではないか。
 さて皆さんのご意見は? 同じ著者の「はだかの起源」ぜひ2冊併せての購読をお勧めする。
知的興奮のすすめ ★★★★★
童謡で有名なアイアイから始まって、マダカスカルに棲む魅惑いっぱいの原猿達の姿を克明に追っていく。次々とあらわれる不思議な猿の姿に興奮し、その名前を覚えたい、またその姿をもっと知りたいと、私は図書館に走ってしまった。

マダカスカルから離れ、やがて類人猿へと話題は移っていくのだが、そこには日本が世界をリードするサル学の先達が加わってきて飽きさせない。
と、突然に視点は過去へと遡るのだ。
お見事!!なんという構成であろう、我々の祖先が何を食べていたのか、歯や手のかたちは何故にこうなったのか…興味つきない旅はまさに
ここから始まるのだ。

動物園や博物館に行きたくなることうけあいの知的興奮間違いなしの
新書です。