アメリカで「民衆のための医師」と親しまれ、辛口の現代医学批判を続けた著者(すでに故人)は、「ほとんどの人は医者を信頼し、崇拝に近い態度をとる。現代医学は人びとのそういった心情からその権力の大部分を得ている」と断言する。
「自覚症状がなくても治療を受けてください」「とりあえず検査しましょう」「きちんと薬を飲んでもらわないと困ります」「手術をしないと大変なことになります」などはよく聞く言葉だが、これらが本当に患者のためを思ってのことでない場合も多いらしい。定期健康診断は患者の“青田買い”。検査のずさんさ、不正確さは最近では知られるようになったが、不要な検査そのものが患者の身体に害を及ぼすことも多く、また検査漬けは医者を思考停止状態にする。
過剰な投薬。医者は製薬会社の言いなり、といったら言いすぎか。そして外科医の信条は、「疑わしきは摘出せよ」なのだ。特に女性は気をつけて。妊婦本位でない出産、安易な子宮摘出、乳房の切除。圧倒的多数である男性医師は、これらの処置が女性にどんな影響を与えるかがわかっていない。医者は彼らの都合を押しつけている。知識を仕入れ、納得できる医療を受けるための戦略を立てよう。(家永光恵)