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食べものは みんな生きていた

価格: ¥220
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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自分のいのちのために。 ★★★★★
わたしは、著者のいうところの偏差値世代だ。
「お願いだから、農家の嫁にだけはなるな」と、母に言われて育った。
もちろん、母は自分のした苦労を娘にはさせまいと、そんなことを言ったのだろう。
それでも、わたしは土から生命が生み出されるのを見るのが好きだった。
両親が田んぼの稲や畑の作物だけでなく、庭の草木、野原の草花まで愛でることを知っていた。

母の言う通り、農家の嫁にはなってはいないが、このごろ無性に土が恋しいことがある。
自分で育てた植物は、やはり愛しい。
手をかけなくても可憐な花をつければ嬉しいし、手をかければもっと充実感がある。
今さらだが、両親の気持ちがわかる気がする。

自分も子どもを授かって改めて「食」を見直したとき、実家の食卓はなんて旬にあふれていたんだろうと思った。
今はもう鶏さえ飼っていないが、その鶏を締めるということさえ、わたしも子どもの頃に見たきりだ。
しかしその経験があればこそ、食べ物を粗末にしない心というものが生まれたのだと思う。

この本は子どものためにと書かれた文章を、改めて大人も一緒に読めるようにと加筆、訂正されたそうだ。
まちがった知識をしまっていた頭に、正しい情報を与え、きちんと考えさせてくれた。
これから子どもにも読ませて、一緒に何か植えてみようかな、と思っています。