根本が理解できませんでした。
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回路を弄り始めたころ最初に読んだ本の中の一冊ですが、これを読んでも思ったとおりのトランジスタ回路を設計できませんでした。後でわかったのですが、
1)動作点の決め方がちゃんと説明されてない。
2)増幅回路としての統一された方法が身に付かない。ともするとケースバイケース的対処に見えてしまう。
なので、読んだあとで、見よう見真似の回路は「作れ」ますが、自分が必要とする回路は「創れ」ませんでした。それと読者のレベルを初心者程度と仮定してこの本は始まるのですが、それが途中で揺らいでます。場面ごとに自分の解説に都合よく読者レベルを設定していて、一貫性がないように感じました。とはいえそれなりに分量のある本なので、代表的な回路/回路部分のなかからそれなりの数は衆力されていて、またいろいろな知識の断片は仕入れられます。
つまり「なんとなく作ってみたい」が目標ならいいけど、本格的に身に付けようと思ってるなら、別の本を先に読むべき出しょう。それと、オシロの写真など沢山あって、出版当時は良かったのかもしれませんが、20年近く経った現在では、SPICEも普及しているので、そちらをベースにした書物で学習する方が効率良いです。
これを読んで回路設計を分かったつもりになるのは危険
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「小信号等価回路は難しいので、極力使わずに書いてみました」と言う意味の分からないスタンスで書かれている本。
この本で書かれているような「直流と交流を一緒に考える」と言うやり方では色々な点で無理が出てきたので小信号等価回路を使った解析法が考案された(歴史的な背景には明るく無いが、おそらくそういった流れであろう)のに、その流れに完全に逆行している。
ピンと来ない方は試しにエミッタ接地増幅回路にでも負荷インピーダンスをぶら下げて、この本に従って電圧増幅率(本来増幅率を電圧だけで議論するというのも良く分からない話だが・・・)がどうなるのか考えて見ると良いと思う。何故この本の内容が良くないのか、負荷を接続しない増幅回路など意味は無いのに何故増幅回路の動作解説を無負荷でやっているのか、何故等価回路を用いる解析法が一般に広く用いられているのか、こんな簡単な例だが良く分かるはずである。
(またズルいことに、説明のしづらい部分はところどころ小信号等価回路的な考えを持ち出しており、その点でもスタンスが良く分からないし、線形電源の重ね合わせの理など、基本的な電気回路の諸定理に対する解説を全くせずに、時折このような解説を挟むのは乱暴としか言いようがない。)
あと個人的には、負帰還増幅に関する部分は良くこんなお粗末な内容で本を出したなと思わずツッコを入れたくなる。
実装例や実装時の注意などが示されている点で、アマチュアが趣味のために読むには良いかも知れないが、ちゃんと勉強をしたい人やプロを目指す人は読むべき本ではないと思う。
初学者でもじっくり付き合うべき本
★★★★★
やさしいことから何から何まで全て書かれていると思ったらそうでも
ありませんでした。トランジスタの入力インピーダンス、
ハイパスフィルタの理屈等、まぁ一応解説はあるのですが、とても
十分説明しているとは思えません。
でも、そういう事柄は別途調べるなりしてこの本とじっくり付き合うと、
回路をどのように見ればいいのかが次第にわかってきます。
(私の場合、わかり出すまでちょっと時間がかかりました。)
与えられた回路を直接解読していくというやり方にはとても好感が持て、
自分の断片的な知識の足りない部分が相当量補われ、
アナログ電子回路アレルギーがかなり解消されました。
本書を読み進めると、次第に原理が理解できる。
★★★★★
ところどころ飛ばしながらもかなり速いペースで読了。
評判通り良い本だと思う。
ディスクリート部品(トランジスタ)の動作を検証しながら回路を成長させていき、
最後はオペアンプまで作るという内容。
最終的にできたオペアンプはかなりの性能になっているようだ。
今までさっぱり分からなかった抵抗やコンデンサの意味が次第に分かるところがワクワクする(^^;
ホビーユーザが週末にアンプなどを作る場合には「オペアンプの方が良さそう」と思っていたけど、本書を読むと「ディスクリートも捨てたものではない」と思える。
調子に乗って続編も購入してしまった。
【題名】定本 続トランジスタ回路の設計―FET パワーMOS スイッチング回路を実験で解析
【ASIN】 4789830470
#「シュミレーション」と言う記述は早めに書き直してほしいところ(^^;
トランジスタ回路の感覚を鍛える一冊
★★★★★
個人的には、トランジスタ回路の動作イメージを鍛えるのに、大変良い本だと思います。
よくあるトランジスタ回路の本だと、等価回路を使って回路の動作原理を説明するものが多い。しかし、等価回路を学んだだけだと、いざ実際の回路図を目の前にした時に回路の動作イメージが湧かずに、困ったということも多い。一方で本書は、等価回路を使わずに、トランジスタ回路はトランジスタ回路のまま理解するというスタンスをとる。したがって、本書は回路の動作イメージを鍛えるには最高の一冊だと思われる。
本書内容および流れは、エミッタ接地、エミッタフォロア、ベース接地などの基本回路から入り、カスコード回路、負帰還増幅回路、安定化電源、差動増幅回路と続き、最終的にオペアンプ内部の回路まで扱う。したがって、本書を読み終える頃には、アナログ回路の基本であるオペアンプの基礎的な部分まで理解できるようなる。
以上よりトランジスタ回路の基礎を学びたいという方は、一読をお勧めします。ただし、まったくトランジスタの知識がない方は、本書を読む前にトランジスタの動作原理やトランジスタで使う用語の意味ぐらいは理解しておいた方が良いと思います。