私は、岩佐又兵衛の名前も知らず、驚くべき絵巻群も知らず、その人が、荒木村重の実子で、信長の虐殺の手から逃れ出て生き延びたことも、のち福井に移り、60歳にして又江戸に移り住みそこで一生を終えたことも知らなかった。そして、彼の人生と同じように彼の残した絵も数奇な運命をたどっていることも。
知らないものだからでしょうか、興味と好奇心で本から目を離せなく読み続けました。面白かったです。思うに、伝又兵衛、あるいは作者不詳とされている絵も、その絵その物の価値に置いては、だれも否定できないと言うことなのです。
彼の描いた絵のように彼の絵に魅せられた人は、虜になってしまうのでしょうか。その絵からのがれられないようです。膨大な資料を調べられた作者自身も・・・。
なぜ、浮世絵の始まりと言われるか(または否か)は、この本に出てくる論文を読めばわかります。
美術関係者では無い方だけに、何故?と素朴な疑問から始まったところに好感が持てます。