ナレッジマネージメントは,結局は組織論に落ち着くように思う.いかにナレッジコンシャスな組織を作り出すかによって,多くの暗黙知を活用できるように共有できるかが決まってくる.ゼロックスのパロアルト研など極端な例が紹介されているが,どこの組織でも同じような成功例はあるもの.
この本を読んでいて思ったのは,プロジェクトXも単に感動物語に終わらせるのではなく,そこからナレッジマネージメントとしての組織論に踏み込んでも良いのではないか.達成に至るまでのサクセスストーリーを緻密に検証できる素材のように思える.
「ナレッジ」とは、「ナレッジをどう共有するか」というような視点のものより、ナレッジをどう経営に役立てるか、ナレッジを生み出す組織、学習する組織をどう作るか、それはどんなものなのか?という「マネジメントする」という視点からの論分が多かったです。
1990年代に書かれた論文ですが、現時点(2004年)でも、参考になること多々です。8編の内容的な重複もほとんどなく、全論文でためになることがあった印象です。ナレッジマネジメントに対する視野が広がったような気がします。
この本を読んで自分なりにすべての論文を一つの理論に統合し整理できたら、ナレッジマネジメントの専門家になれそうである。