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銀行員の転職力

価格: ¥1,728
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 日本実業出版社
Amazon.co.jpで確認
想像以上に中身は濃い。 ★★★★★
タイトルがノウハウ本の雰囲気でしたが、現実的に転職を考えている銀行員の自分にとって「これ!」という本も情報源もないことから、やはりそのタイトルに魅かれて購入してみました。読んでみてまず感じたことは、本筋からは離れるコメントですが、一気に読める面白さがあったということです。文章にリズム感があって、まずは「なるほど」とうなづきながら読めました。次に感じたことは、これも転職からはやや離れますが「なるほど、銀行の人事というものは、やはりそういうことだったのか」という妙な納得感がありました。言い換えると常日頃職場で感じているうっ屈したものを論理的、客観的にに正当化してもらった気がします。そして最後に感じたことは、やはり銀行にいても仕方がない、転職をすべきだ、少なくとも転職を意識して日々行動すべきだ、ということでした。こうなると人材紹介業である著者の策にはまったかのような気もしますが、冷静に考えてみても、結論としてはその通りだと思います。「自分が毎日働いている銀行って一体何なのか」という今更ながらの疑問に対して「人事」という観点から明確に答えてくれた本だと思います。中身は濃いと思います。
確かにメガ銀行員向けですが ★★★★★
この本は就職を考えている学生さんから30台前半の現役(メガ)銀行員の方が読まれると良いと思います。
私自身は40歳過ぎの元(メガ)銀行員で、転職経験があるのですが、著者が述べている「銀行人事の論理」みたいなものは基本的に全てその通りだと思います。特に大事だと思うのは組織内での自分のポジションを客観視し、次のキャリア戦略を早めに考える、というくだりです。そして、この本で述べられている人事の論理というのは(メガ)銀行に限らず多くの「伝統ある大企業」に当てはまると思います。自分を評価する相手の行動原理を知ることはとても大事です。私が就職を考えている学生さんにこの本を薦める理由はここにあります。
世の中はこの20年間で大きく変わり、伝統的な大企業が魅力を失ったり、伝統的な大企業の中でも人事評価軸が大きく変わったところもあるでしょう。そうした中でも変わらぬところがあるんだよ、それは考え抜き、物事をやり抜く姿勢を身に付けた人(こういう人を育てるのが(少なくともメガ)銀行は得意)の価値は古今東西問わず必ずどこかで必要とされる(=転職力)、というのが著者の伝えたいメッセージなのかな、と理解しました。
銀行員の定年までの処遇、その背景にある組織のロジックが率直に書かれています。 ★★★★★
8つの書評を読ませて頂いた上で購入しました。書評のそれぞれが言い得ており、それぞれに納得できました。私も大学卒業後銀行に就職し20年近く働きましたが、最も大きな悔いは「銀行に人生を委ねてしまった」ことです。この本に書いてあった通り、銀行にいる時から「もっと厳しい職業観を持って、自分のキャリアを考える」べきだったと思います。それができなかったのは、持って生まれた自分の甘さが最大の理由ですが、「兎に角忙しかったこと」と「その時点の処遇(給料)の高さ」ゆえに転職に意識が全く向かなかったこともあったと思います。この本の良さは以下の点と思います。1.銀行員の定年までの処遇がどうなるのか、その裏にある組織のロジック、が大変率直に書かれている。→恐らく、どの銀行の人事部もこのロジックは否定できないでしょう。2.銀行員のベース能力の高さに光を当てている。→いくつかの書評に「銀行員の転職力に疑問を投げかける」ものがありましたが、私の経験上は、「物事を詰めて考える力」という点では、銀行出身者は並べて高い資質をもっていることも事実です。恐らく、この点は行内で徹底的に鍛えられるのだと思います。「銀行に勤める多くの若手が、日常の忙しさに埋没せず、自分のキャリアについて考えてみる」、そんなきっかけをこの本は与えてくれるでしょう。
銀行員必読の書 ★★★★★
転職を考えているか否かを問わず、(元)銀行員が自身の社会人人生を考える上で大変参考になる示唆に富む本である。私も転職経験のある元銀行員だが、改めて「銀行人事とは何なのか」「銀行でのキャリアアップとは」という本書に指摘されている観点を認識していれば、銀行員としての違った生活や異なる転職の姿があったかも知れないと思う。平易な文章で分かり易く書かれているが、内容は現象面にとらわれず、その背景にある本質まで説明されており単なるノウハウ本ではない奥行きを感じさせる。誇張でなく、銀行員必読の書ではないだろうか。
銀行員に対する視線が温かいが故に自分を買い被ってしまう可能性もある ★★★☆☆
かつてメガバンクに勤めていたので、表題に惹かれ、どんな論旨なのだろうと読んでみた。
大前提としてあるのは、そもそも銀行に入れること自体が優秀であることの証明であり、さらに法人営業を中心として銀行独特の人事部によるキャリアコントロールで様々な仕事を経験し鍛えられるから、市場価値は更に増す、という著者の銀行員観である。銀行員に温かいエールを送っている感じある。

私にとっては、その立脚点に対して違和感を禁じ得なかった。そもそも、銀行でひと括りにしているが、著者が銀行と呼ぶのは、昔で言う都市銀行の上位行と長信銀、今ならメガバンクと住友信託銀行ぐらいという感じである。地銀は恐らく想定していない。さらに、銀行員であるだけで、優秀というトーンは、銀行員が喜びこそすれ、それは違うのではないかと感じた。有名な20対80のパレートの法則があるが、僕が経験した銀行でも、2割の優秀な人と8割の一生懸命頑張る人に分かれていたと思う。一般企業と違うのは、残り8割も、出世の階段をほとんどブラインドにされて期待を抱かせるような作り込みにしているので、かなり頑張っていて相当な底上げがなされていることだ。少なくとも、私がいた三和銀行はそうであった。支店に行くと死ぬほど緊張感が漲っていて、この勢いで受験勉強させたら、1年後には全員東大に合格すると確信したほどである。それが、横浜の外れの最初に配属された支店でもそうであったので、中央の支店などは、呼吸することもままならないほどの緊迫した雰囲気であった。

私は今事業会社にいるが、銀行員と聞くとプライドが高いが、企画力・発想力・自主性は失われているという感じだ。これからこの本を読んで転職などと意気込んでしまう気になってしまった銀行員の方は、この本を読んでいい気持になってしまわないで、冷静な自己分析を施してしっかりと自分の市場価値を見極めた上で、行動されるのが良い。

参考になった箇所は以下の通り、
→面接官は、会話のパーツや話し方を通して、人柄や人物を見る
 人柄の良さは、目に見えない相手へのいたわりの気持ちだろうが、会話をしていると如実にそれがわかる

→相手の言葉をよく聞く、その意図をきちんと理解する。自分の考えをまとめる。簡潔に言葉にして発する。そして今度は自分の問題意識を伝える。面接はその繰り返しだ。その循環の中で、双方の適切な距離感が定まってきて信頼感ある関係が生まれる。
 私は社会人として最も大切なのはコミュニケーション能力だと思っている
 人間関係としての上手な間合いの取り方。
 時には最後までゆっくり相手の話を聞いてみるといい。こちらが言葉を発する何倍もの意思の疎通が図れるだろう。

→市場価値の最大の根拠は人格でも人柄でもない。自分の過去であり、キャリアなのだ。

→職務経歴書のポイントは、「より具体的に」「極力数字」で示す

→退職希望の理由は「新たな仕事にチャレンジしたい。自分をここまで育ててくれた銀行には感謝しているが、ここはわがままを聞いてほしい」これしかない。

→結論から言うと、転職は惜しまれてするのがベストだ。惜しまれるほどの人物や評価でない限り、満足できる転職先は見つからない。
 各職場において自分が評価・信頼されているか否かについては、結構わかるものだ。
 高く評価されているタイミングこそが、恐らく第三者から見ても「脂の乗っている」と感じられる時期なのだ
 自ずと余裕もあり、面接でもそれが人間の幅や高いポテンシャルと認識される。好循環を生む。