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ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

価格: ¥1,037
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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途上国における日本の役割とは ★★★★★
硬いタイトルだが中身は国家経営とも言うべき広範に渡るもの。人の上に立ち、指導する立場にある全ての人にお勧めできる良書。

著者が現地でもっとも力を入れたことは現地のルワンダ人の能力を引き出すことである。今日でも途上国では現地人が一次産業のみを行い、二次、三次産業は居尾宗主国などの外国人が行っていることが多い。著者は現地人への粘り強い聞き取りを繰り返し、ルワンダ人のど局が生きる、速度が遅くとも安定した農業中心の発展を目指す。

このルワンダ人の長所だが私は「正直さ」や「素直さ」と表現できると思う。大統領をはじめとして本書に登場するほとんどの政府高官は経済の知識は無くとも皆国民の福祉向上を第一に考える好人物として描かれており、また彼らなりの経済効率性も著者は発見している。

他にも商人育成や教育に対する提言など、おそらくどの途上国もが抱えている諸問題にも触れられている。これらの問題は今日の世界でも未解決のものであり、途上国全般に関心がある人にもお勧めできる。
45年前、遠いアフリカの国で一人の日本人が見せた熱意 ★★★★☆
ルワンダという国には、十数年前に民族間の対立から大虐殺が起きた国、というイメージしかありませんでした。
そんな国で、いまから45年前、一人の日本人が目前に迫った国家財政の破綻と戦い、同国の経済発展に心を砕いたということは、この本ではじめて知りました。

45年前のルワンダの町がどんなだったか、といったことはこの本には書いてありません。
本当に中央銀行のプロとして、通貨の切下げや税制の改正、物価の統制といったさまざまな改革の取り組みをどのように考えて進めていったのか、ということがつぶさに書かれています。

前半だけ読んでいるととても順調に進んだようにみえてしまいますが、実際にはそんなうまく行くことばかりではなく、改革の成果を阻むさまざまな問題があったことも示唆されています。
それでも、蒔かれた種が芽を吹いて、ルワンダがその後十数年にわたって発展を続けアフリカの優等生と呼ばれていたことは、著者が示した途上国支援に全霊で取り組む姿勢とともに、僕らも覚えておくべきだと感じました。
交渉とはこういうものかと感心 ★★★★★
一番感動したのは、旧植民地国家という歴史のため、尊厳が保たれていなかったルワンダ人達に真摯に向き合い、

世界トップクラスの経済大国である日本で培った能力と知識を惜しみなく与えようと、

国家や偏見などの枠を超えて献身的に職務を全うした、元日本銀行勤務の著者の前向きで熱心な思いだった。

そして、銀行業務の立て直しだけでなく、ルワンダ大統領の信任のもと、

政策にも積極的に提言し、逼迫した財務状況のルワンダに安定をもたらした事だった。



当時の背景として、ルワンダだけでなく近隣のアフリカ諸国は旧植民地として搾取される運命から逃れる事ができなかったうえ、

60年代からすでに中国やインドからの商人達が幅を利かせていて、現地のルワンダ人の仕事を奪っていた事が驚きだった。




なにより痛快だったのは、著者が欧米のトップクラスの人々との交渉に、決して譲歩しなかった事だ。

交渉とはこういうものか、と思う反面、屈する事のない意思を培うために、著者がどれだけの努力をしたかを思った。

現地駐留の外国人の意見に染まる事なく、直接マーケットを訪れたり、輸入業者の率直な意見に耳を傾けたりして、

自身の目と足で情報収集し、自ら嗅ぎ取った感覚を大事にした点は、どんな事にも共通する事だろう。




そして当たり前の事ながら、経済とはこんなに日々の生活に関わる事なのか、と改めて感じた。

現在の日本のような状況では、経済施策をなかなか実感しにくいかもしれないが、

ルワンダで総裁が行った施策は、全てリアルな生活に結びついているのが本書を読むとよくわかる。

だからこそ、経済に対してもっと敏感になって、厳しい視点を持つ事はとても大切なのだと思った。




途中、いろいろな統計や財務表などが出てきて、数字に疎い私はページをたびたび飛ばしたが、

きちんと目を通した方が、この本の醍醐味を存分に堪能できると思う。
話題の書、ついに復刊 ★★★★☆
一部熱烈な読者の間では名書と言われていた秘著。長く絶版であったが、新たに巻末に若干の増補を挿入して、先頃復刊された(Amazonでは別本扱いとなっているので注意)。昭和47年の執筆であり、今とはあまりにも国際関係や金融情勢が異なっており、いささか昔話的なきらいはあるが、さしずめ金融版坂の上の雲atアウェイ編といった趣か?ある良識ある日本人金融人の奮闘録として、痛快な読み物であることは、間違いあるまい。
大正生まれの選良のアフリカ観、援助観 ★★★★★
かつて日本人で、これほどの高みでアフリカ開発の実務に携わった人物はいない。そういう人物が、日本の対アフリカ援助の草創期にいたのである。戦争体験を潜り抜けた地力はアフリカでの苦難をものともしない。帰国子女の走りでもある服部正也は、その類稀な語学力を駆使して、貧困きわまる独立直後のルワンダに経済発展の絵を描き、そのための装置をつくった。ボロボロだった中央銀行の帳簿から植民地経済の本質と援助の本質を見抜いてしまう眼力には圧倒される。私は昨年この本の書評を『フォーサイト』に書かせてもらい、いまでも服部ファンが全国にたくさんおられることを知った。復刻を心から喜んでいます。