最初に私がグロービスの書籍を何冊も持っているという事実を述べておく必要があると思う。
「マネジメント・ブック」は常に手元においておく参考書として非常に有用であるし、「アカウンティング」は経営者としての観点からの説明がわかりやすかったし、「ファイナンス」も当時目新しかった理論を素人でもわかるように説明してくれた。
いずれも高い価格ながら、それに見合った本としての満足感を感じつつ、手元に置いている。
しかし・・・
この「定量分析」は全くいただけない。
いろいろな指数を寄せ集めて見せただけで、本当に定量分析が理解できるとは思えない。
定量分析を学びたい方には、他の教科書をおすすめし、グロービスには大幅改定を期待したい。
-ジェネラルな企画・戦略ということがミッションである。
-日ごろ、定量分析にどっぷり漬かっている、いやになるほどこんなことばかりをしている・・・わけではない。
-時おり、気になったり、あるいは、どういうものかということを思い出して、詳しい人に、「これ、お願いね」とお願いする。
そのような、定量分析に漬からないが時おり思い起こさなければならない、そのようなタイプの人には程よく広く手がかりが示されていてちょうど良いような気がします。
タイトルから想像されるような、さまざまな分析ツールがこれでもかとばかりに出てきて、それに解説がつくという本ではない。紹介される分析ツールは基礎的なものだ。本書の主張は、定量分析における数字いじりの比重は高くない、四則演算とエクセルのちょっとしたツールで十分で、良い分析の鍵は数字いじりの前後、たとえば前提の置き方や説明責任の果たし方にあるというものだ。自分のまわりの「分析屋さん」に読ませてあげたい。
したがって、分析ツールマニアや分析至上主義者には物足りないかもしれないが、コンジョイント分析やモンテカルロシミュレーションなどを実際に仕事で使う機会はないであろう、世の中の大多数を占めるビジネスパーソンには非常に示唆に富む内容と思われる。
もっとも、個人的には、さまざまな分析ツールをもっとよく知りたいとの思いもあり、パート2の予定があるならばそれに挑戦していただきたい。