学者にありがちな本
★☆☆☆☆
この手の本はFreakonomicsに始まり色々読みましたが、この本は正直期待外れでした。
まず、学術的すぎる。色々事例を挙げるのですが、方法論や学術的な背景など、ビジネスマンからしたらどうでもいい事を延々と細微にまで書いてます。読んで苦痛でした。
もっと本質的な問題として、何が結論で、実ビジネスや社会へのアプリケーションが全く分からない点。
学者である作者からは現実的なtake awayが出てきません。ひたすら事例の列挙に終わります。
筆者のエピソードを踏まえた文章がとても素敵。行動経済学を楽しく学べる本。
★★★★☆
とても文章が上手い人です。
できれば,翻訳版ではなく原書をお薦めします。
「人間が理性に基づいて経済的な意志決定をしている」というテーゼに対する,
反証としての行動経済学の本。経済学の本と言うよりは,かなり心理学に近い。
行動経済学では脳科学・心理学を駆使して,旧来の理性に基づく経済理論では,
我々の「不合理だけど合理的」な現象を説明できないことを証明しようとする。
何冊か読んだ行動経済学の本の中では,これが一番楽しく読めた。
この本では心理学的な実験が多数紹介されていて,
経済に関することはともかく,「理性的に理不尽な判断を下す」というパラドックスを,
明晰に説明している。
- 人間が”タダ”に弱い理由。
- 人間が性に関する倫理が性的興奮時には崩壊するという実験例。
(これは,よく実験したなあと逆に関心してしまった。。。)
- プラセボ(偽薬)はどこまで正しいか。
- コカコーラとペプシコーラを本当に区別できるのか。
興味のある人はぜひ。
翻訳のほうもかなりおもしろいということなのだけど,
英語に抵抗がなければ,原書をお薦めします。とても素敵な文章を書く人です。
経済を考える時に参考になる本
★★★★★
金融危機の時代、金融政策、経済政策に関してはいろいろな議論がなされているが、従来の経済学が前提としてきた、合理的な人間行動、市場での自律的均衡などが疑問視されている。経済学の今後の大きな課題を現在の金融危機、世界的な不況は突き付けている。この様な時に大きな考え方の変革を迫るものがここ最近はやりの行動経済学である。本書はその入門的な本であり、アカデミックな内容をより一般人に分かり易くかつ実証結果の内容付きで解説している点で、今読まれるべき本である。
期待通りだった
★★★★★
全身の半分以上にやけどを負い、何年も病院通いになり、人を観察することからしか、考えるネタを探せなかった状況に長く置かれたことによる経験により研ぎ澄まされた人間観察力、その観察から得た仮説を実験により検証することから得た見解が纏められている。
内容としては、意思決定の根拠や認識が不純になるパターンをいくつか紹介している。
http://www.ted.com/talks/dan_ariely_on_our_buggy_moral_code.html
に、本書の一部の内容を、著者がプレゼンしているので(英語)
これをみて、興味をもたれたら、読まれたらいいと思う。
行動経済学入門書の佳作
★★★★☆
行動経済学の入門書としてまたとない良書である。著者自身の実験結果が要領よくまとめられており、現実社会では伝統的経済学では説明できない事象が数限りなく生起することを示している(日本人研究者には思いもよらない仰天事例も含まれている)。ただし、数式が全く使われていない点は、入門者に対する配慮であるとしても、一般化への見通しを求める読者にはやや物足りなさが残るかもしれない。