恥ずかしながら、普段あまり政治に関心を持っておらず、かつ、著者の文章をこれまでほとんど読んだことがなかったが、自民党の流れ、田中角栄の生涯、ロッキード事件裁判等について関心を深める上でも、そして著者自身のことや、これまでの執筆の体系をつかむ上でもとても参考になった。
なお、ロッキード事件判決や田中角栄自身の評価については意見の分かれるところであり、著者の裁判についての評価の部分や、裁判の批判者や田中擁護者に対する著者の反論部分については、慎重に関係資料等を幅広く読んだ上でないとその真意を十分に理解できず、その是非についての軽はずみな論評は避けさせていただくが、著者の頑強な決意、徹底的な研究、論理的な意見の展開等を見習いたく思った。