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リターンマッチ

価格: ¥955
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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ボクシングノンフィクションの新たな金字塔 ★★★★★
ボクシングノンフィクションといえば、沢木耕太郎の「一瞬の夏」が有名だが、こちらも新たな金字塔になりうる名著だ。

沢木氏の「一瞬の夏」は、筆者自身が主人公カシアス内藤の懐に飛び込み、一緒に夢を追うという「参加型」のノンフィクションだったのに対して、「リターン・マッチ」での後藤氏はジャーナリストとして適度な距離を置きながら、温かくも正確な目線で事実を追っている。

負け犬根性がしみ込んだ定時制高校の生徒が、ボクシングを通じて何かを学んでいく。当然、そこにはきれいごとだけでは済まされない現実がある。
誰の、何に対するリターンマッチなのか。
「一瞬」ではなく、静かに考えさせられる作品である。
今読んでも古くない。優れた聞き手が生んだ傑作!! ★★★★★
‘94年に単行本として発売された作品を文庫化したもの。

定時制高校に勤務する中年の英語教師脇浜義明。この男が教師になるまでの人生は波乱に満ちている。育った環境も複雑である。小中学の頃は警察でも有名なワルであり喧嘩ざんまいの日を送る。中学を卒業し造船所の工員をしながら定時制高校に通い、卒業後は大学(2部)に進学するのだが、卒業後教師になるまでに20あまりの職業を転々とすることになる。人間的にも決して聖人君子ではない。

この作品はそんな彼が、「成績も悪く、ケンカも弱い」となってしまった定時制高校の生徒達に「勝つこと」を知ってもらおうとボクシング部を創設し生徒達と歩んだ姿を3年に渡り取材し書き上げたものである…のだが、「勝つこと」を知ることが出来る生徒ばかりではない。なんとなく部活に出てこなくなる生徒もいるし、やる気のない生徒もいる。定時制なので部員もなかなか集まらない。

著者は脇浜ばかりでなくそんな生徒の姿も丹念に綴っていくのだが、取材をしている訳ではない。その人物のペースを乱すことなく日常の会話から話を聞き取っていく。そして、時間を掛けてその人物のありのままの姿を写し取っていくのである。

ただ、一定の線以上は彼ら(特に生徒)の私生活には踏み込まない。そして、教師としての脇浜の苦労にもあまり触れない。これはどの作品でもそうなのだが、彼の流儀である。例えば「奪われぬもの」という短編集にマラソンの有森裕子を描いた作品があるのだが、この中で著者は“興味があるのは選手としての彼女であり私生活には興味がない”と述べている。この作品であれば書きたいのはあくまでボクシングを通じた脇坂と生徒の姿であり、彼らの私生活ではないということであろう。

15年近く前の作品であるが今読んでも決して古くない。優れた聞き手である著者でなければ書き得なかった傑作である。
人生のリターンマッチ ★★★☆☆
ちょっと泥臭いのだけれど、人生に負けつづけた子ども達のリターンマッチというのが、すごくかっこいい。
ぶっきらぼうな顧問である先生も興味深くいい感じ。
ノンフィクションなので、淡々と書かれているけれど、そこがまたリアルで読みやすく感じました。
良い言葉がたくさんあり、良い勉強になりました。