働く意味を深く考えさせられた
★★★★☆
そもそも、ここに収められているストーリーのすべてが既に30年も
昔のルポなので、果たして、現代にマッチしないことも多いのではな
いかと思いつつ読んでいました。
しかし読み進む連れ、そんな不安はきれいに払拭されました。リアル
タイムで読んでも十分、面白み、新鮮味が感じられました。
ここに収められているのはある意味、日本の底辺を支える人たちの
職場の物語です。港湾の荷役作業に従事する人、長距離トラックの
運転手、林業、線路工夫、漁船乗組員、炭鉱労働者等々、我々の
生活を守るいずれもなくてはならない人たちばかりで、その労働
環境はいずれも劣悪です。
しかし、現代にもマクドナルドの管理職のように過酷な過酷な労働
条件を強いられている人も多数います。
昔の日本人は今から比べると非常に勤勉でしたが、ある意味「格差
社会の原点ともいえる社会構造はこの頃から既に出来つつあったよ
うです。
「働けど働けど少しも生活楽にならず」という労働の恐ろしさを
実感できるようなウソのない一冊です。