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価格: ¥1,728
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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世界最強のクライマー・山野井夫妻を襲った「一瞬の魔」。しばしの逡巡の後、宙吊りになった妻の頭上で迫られた究極の決断とは。『檀』以来十年ぶりとなる、待望久しい最新ノンフィクション長編。
山への思いと夫婦の愛 ★★★★☆
世界最強のクライマー」と呼ばれた山野井泰史が
妻妙子とともに登ったギャチュンガン。その生還劇を
「深夜特急」の作者、沢木耕太郎が描いたノンフィクション。

文庫化された時に、平積みになっていて、
沢木耕太郎なんて「深夜特急」しか読んでないなって、
手にしたまま積読。
もっとも深夜特急もまともに全冊読んだわけでもなく、
大沢たかおのドラマを見た印象のほうが強いわけですが。

別に登山を趣味としているわけではない俺ですが、
読むに従い、どんどん感情移入していって、
のめり込むように読みました。

次々に迫り来る、究極の選択。
俺もヨメと一緒に山を登って、こんな状況になったら
どうするだろうかなんてことも思ったりして。
まあ、ありえないんですけど。

ちょうどクライマックスを読んでいるあたりで
この前の上海万博でネパール館訪問。
ネパール館には「世界の嶺全景」というタイトルで
ヒマラヤの写真が飾ってあって、こんな山での
出来事なんだよなという思いも身近に感じつつ。

また、今回の旅では嘉峪関あたりからは南側に青海省の
チベットの山々の見えました。
その時も山野井と妙子のことのちょっと思い出したりもして。

「深夜特急」を読んだり見たりした時は、同じような
旅をしたいと思ったりもしましたが、
さすがに、この「凍」を読んで、同じように山に
登りたいとは思わなかったですけどね。
もともと、そっち系ではないので。

でも、この本を読んで、思いを感じることが出来、
疑似体験をすることは出来たと思います。

http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2010-08-10
緊迫感 ★★★★★
登山の経験のない私にもわかりやすく解説された文章 手に取るように伝わってくる緊迫感や臨場感で読書の苦手な私でも退屈せずにいっきに読み終えてしまいました ドラマとか映画にしてほしい一作です!
強靭すぎて畏怖せざるを得ない人間性を兼ね備えた、主人公である夫婦に、ただただ、驚愕 ★★★★★
これがノンフィクションだということに驚いた。非常に人間的魅力にあふれる、いや、強靭すぎて畏怖せざるを得ない人間性を兼ね備えた、主人公である夫婦に、ただただ、驚愕。
個人的な評価としては、「神々の山嶺」「栄光の岸壁」といったすばらしい山岳小説をも凌駕している。
山野井夫妻の人柄が伝わってくる ★★★★☆
この夫妻をひと言で表すなら「強い」としか言い様がない。山野井さんが強いのは当然として、奥さんの妙子さんは驚異的である。高度順応がうまくできないため、超高所にいるにもかかわらず、カロリーのある食事がほとんど摂れなくなってしまう。普通の人なら行動できなくなって凍死か滑落死するところを鍛え抜いた抜群の体力で生還するのである。妙子さんは女性クライマーとして華々しい登攀歴を持つが、性別を抜きにしても世界的に一流のクライマーである。恐怖を感じるセンサーが他人よりゆるい(失礼)とか、楽観的で前向きで、家事や事務能力が高いとか、キャラクターが立っている。この彼女が山から生きて帰れるのは山野井さんがいるからと夫を尊敬しているのだから、こと山岳においては最強の夫妻である。ジャンルは違うがハリウッドでたとえるならばブラピとアンジーである。
印象に残ったのは山野井さんが中学3年生の時、岩登りをしていて10メートルの高さから墜落し血を流して家に帰る場面である。父親が山をやめろと叱るが「やめさせるなら死んでやる」と言って包丁を腹に当てる。ここを読んではたと誰かの言葉を思い出した。「これが無ければ死んでしまうというほど夢中になれることを探しなさい」そういう意味で山野井さんは常に山と関り続け、幸せそうである。
沢木耕太郎さんの懇切な描写によりギャチュンカン雪壁の登攀、そして死闘の下降を疑似体験をすることができた。本書は先鋭的なクライマーに向けて書かれた物ではない。著者が恐らく想定しているであろう登山を全くしない人にも問題なくお薦めできる。こんな激しい生き様もあるのかと考えさせられる良書である。
期待はずれ ★★★☆☆
沢木氏の本は深夜特急以来、読むのを敬遠してましたが、題材が題材だけに素直に期待して読みました。

期待はずれです。

最初の方で、ディック・バスとメスナーを同列に論じており、いきなり読む気がなくなります。山野井のスタイルの先鋭さを強調したいのでしょうが、非常に粗雑な印象を受けます。

何が楽しくて山野井夫妻はこんな苦しい登山を続けているのか、この本を読んでも分かりません。登山はもともと楽しいもので、山野井のスタイルもその延長にあると言う視点が、山登りをしない沢木氏になかったと言うことでしょうか。

文庫版解説の池澤夏樹氏によれば、よくぞこれだけの登攀描写をとのことですが、私はむしろ、登山経験もないのに、よくも見てきたようなことをと言う印象を拭えませんでしたね。

何も私は沢木氏に、ヒマラヤ級のクライマーとしての経験があれば、とか言いたいわけではありません。ただ、丹沢に登るくらいの経験は必要だったのではないかと思います。