この新作アルバムで、マーティンはスペイン語で熱っぽく歌うことでヒスパニックとしてのルーツに回帰した。アルバム・タイトルを訳すと「静かなる魂」となる。ストリングス、シンセ、ホーンを駆使し、生き生きとしたプロダクションを実現したトミー・トーレス、ジョージ・ノリエガ、エミリオ・エステファン、ステファノの支えもあって、このアルバムはいかにもマーティンらしいムードとグルーヴを放っている。燃え上がるようなフラメンコ調の「Jaleo」は、ラテン・ポップ・ヴァージョンとスペイン式英語(Spanglish)によるヒップ・ホップ・ヴァージョンの2種類を収録。どちらのテイクも、たとえば「Besos de Fuego」と同様にダンサブルで、ボンボンを振り回すのにぴったりだ。しかし、「Tal Vez」、タイトル・トラック(これを書いたのは、やはりラテン・スターであるリカルド・アルホナ)といったマーティン流ボレロ・バラードを聴くと、彼が腰と同時にハートにくる歌を歌えることが分かる。リッキー・マーティンは本作でセリーヌ・ディオンの領域へと踏み出したのだ。以前からマーティンを熱心に聴いていたラティーノ・ダンス/ポップ・ファンから離れることなく、アダルト・コンテンポラリー畑の新たなファン層を生み出すことができるかもしれない。(Eugene Holley, Jr., Amazon.com)