ピッピはマイペースで、礼儀知らずで、口の達者な、男まさりの女の子。たった1人でへんてこなおうち「ごたごた荘」に住んでいる。同居人はおさるさんが1匹だけ。たまたま忍び込んだどろぼうに無理やりポルカを踊らせたり、学校に乱入して「クックさん」（「九九かけ算」）を習おうとしたり、サーカスでは最強の怪力男アドルフを負かしたり、警察官と鬼ごっこをしたり…。とにかく、元気で性格もいい愉快なピッピ。彼女の周りには、いつもどんちゃん騒ぎが巻き起こる。こんなに楽しくて頼もしい子どもはピッピをおいてほかにはいない。

   アストリッド・リンドグレーンは、個性的で愛嬌（あいきょう）たっぷりの主人公ピッピの生みの親。『Pippi Longstocking』（邦題『ながくつしたのピッピ』）は、何世代にもわたって子どもたちに愛され続けている。本書のよさは、なんといっても読書の楽しさを子どもに教えてくれること。子どもたちはもっとピッピと一緒にいたくて、本書を何度も繰り返して読むことになるだろう。それくらいピッピは魅力の尽きない女の子なのだ。