さすが良くできた映像です!
★★★★☆
古くからあったビデオ作品ですが、「道化師」があまり好きでないこともあり、
今まで見たことがありませんでした。
今回は大幅な値下げなので、折角の機会だから購入しました。
まずゼフィレッリの細部に至るまで神経の行き届いた映像には感動です。
ストーリーについて、とても説明的な演出が行われているので、
初めて見る人がストーリーをしっかり押さえるのに最適です。
オテッロも良かったけど、この映像、特にカヴァはゼフィレッリ映画では
最高の一つに数えられると思います。
特にシチリアでのロケが本当に美しいカヴァには感動しました。
オブラスツォワがあまりにも悲劇的で、今となっては少し漫画的なところもありますが、
バルビエーリの達者なマンマやまだまだ細身のブルゾーンと、
視覚的にもとても楽しめます。
それに何と言ってもドミンゴです。声、出まくりです。
最盛期の録音で、その頃はたくさんレコードを聴いていたものだから、
これってある程度当たり前のことだと思っていたのだけど、
今となってはドミンゴは本当に歴史に残る大歌手だったんだと思います。
ドミンゴの演奏を見るだけでも価値あるDVDです。
道化師でのポンスの素晴らしさ、また私には少し苦手なストラータスも、
体当たりの演技は素晴らしいし、声も違和感なく聞けました。
でもやはり道化師自体、私には苦手な作品だなと再確認しました。
いずれにせよ、ビデオ・オペラの中でもかなり素晴らしい部類に含まれるので
是非とも安い内に買って見ておかれるといいかも知れません。
ゼッフィレッリ演出のオペラ映画
★★★★☆
ゼッフィレッリ演出の映画『ロメオとジュリエット』に感動したなら、これらのゼッフィレッリの演出は興味深く見ることができます。『カヴァレリア』のイタリア・シチリアの民衆と風景、屋敷の外と内など作品に対する共感と理解の深さは特筆できます。『道化師』も劇団の演ずるアルレッキーノの劇などの再現は見事です。主役の歌手の歌唱は申し分ありません。
ただ・・・物語の展開がどうにも納得のいかないものです。『カヴァレリア』は、嫉妬は結局恋人を死なせてしまう結果にしかならないのに、故意にそこへ一直線に向かっていく話ですし、『道化師』のカニオの嫉妬もずいぶん理不尽なものです。ポスト・モダンな観客はどうもこういった激情に「ついていけない」ようです。