メキシコのスーパースター、タリアは、声量のとぼしいお色気ラテン・ポップ・シンガーだった90年代初頭から長い道のりを歩いてきた。1997年の秀作アルバム『Amor a la Mexicana』は、彼女の才能が全開になった作品で、エミリオ・エステファン・ジュニアのグッとくるプロダクションが大きく貢献していた。本作『Arrasando』ではすべてがヒート・アップ。これまででもっとも密度の濃いアルバムに仕上がっている。タリアとエステファンは、サルサ、ラップ、レゲエ、クンビア、アグレッシヴなクラブ・ビートをひとつにまとめ、こたえられないサウンドへと昇華させる。「Regresa a Mi」、「Pata Pata」、「Siempre Hay Carino」ではノリのいいリズムがさく裂し、じっと聴いてはいられないぐらいだ。タリアはバラードでも実力を証明しており、とりわけファースト・シングルとなった名曲「Entre el Mar y una Estrella」は聴きものだ。

   このセクシーなシンガーは、海外リリースのため、すでに英語による録音を済ませており、現在はソニーの会長であるトニー・モトーラ（マライア・キャリーの元夫）と交際中。大躍進の時機は、もはや目と鼻の先まで来ているようだ。（Joey Guerra, Amazon.com）