「ハッチ」の中には一体何があったのか? シーズン1をハラハラさせた出来事の答えは続編のオープニングで明らかになるが、また新たな謎がさらに生まれる。前シーズン同様、「へえ、そういうことだったのか」と納得した後で、「今度は何だ? 」と思わされる展開が続く。それぞれの答えはシーズンを通してちりばめられ、最後の最後に「オーシャニック航空815便が墜落した原因は一体なんだったのか」という究極の疑問が投げかけられる。番組の中で登場人物の過去がまたさらに明されいくと同時に、新メンバーも紹介される(ここは離れ小島。誰に出会うかわからない)。まずは島の反対側に墜落した飛行機の後部座席に座っていた「テイリーズ」と呼ばれる生存者たち。賢明で信心深い、元麻薬の親玉、ミスター・エコ(アドウェール・アキノエ・アグバエ)、献身的な夫バーナード(サム・アンダーソン)、心理学者リビー(シンシア・ワトロス。他の島人たちとの間に隠された接点がある)、そして元警官のアナ・ルシア(ミシェル・ロドリゲス)。彼女はフラッシュバックでいくら同情をさそう過去が明らかになっても、一番いらいらさせられるキャラクターだ。その他に登場するのは「アザーズ」。シーズン1の終わりにウォルト(マルコム・デヴィッド・ケリー)を拉致した残酷で計算高いグループだ。ハッチで人質になったグループの一員(マイケル・エマーソンが気味悪い演技をみせる)が、それでもなくても神経をすり減らしている生存者たちに心理戦をしかけ、問題はさらに複雑になる。前シーズンからおなじみのキャストたちもそれぞれに問題を抱えている。なんとかウォルトを助け出そうとして危険に巻き込まれるロック(テリー・オクィン)、サン(キム・ユンジン)、マイケル(ハロルド・ペリノー)。ジャック(マシュー・フォックス)、ケイト(エヴァンジェリン・リリー)、ソーヤー(ジョシュ・ホロウェイ)の三角関係はソーヤーが退いたことで一時停滞していたが、シーズン後半では再び火がつく。キャストの多さ(シーズンの終わりには数人姿を消しているが)にもかかわらず、シリーズの魅力は衰えをみせていない。それぞれ過去に秘密を持つ人間の心理を探り、『蝿の王』的な状況に見ず知らずの他人同士が投げ込まれたとき、人はどんな行動をとるのか、という社会動学に迫る。 これは科学的実験? それとも夢の話? 宇宙にできた超自然ポケット? いずれにせよ、シーズンの最後にはどの説もきっとあやふやになってしまうことだろう。でも、そこがこの作品の楽しさ。これはDVDのために作られたのだから、何回でも画像を止めて、スローモーションで楽しめばいい。ただ、頭が混乱しないように注意が必要だ。
DVDにはキャストやプロデューサーの解説があるが、サメのひれについていたダルマのロゴ、ウォルターのつぶやきの解釈(「ボタンを押すな。ボタンは駄目だ」を逆に言っている)が明かされる程度。不気味なハンソー基金のシーンで始まるディスク7にはキャストによる各説、削除シーン、エピソードの特徴など、8時間にもわたるボーナス特典がついている。「ロスト」ファンにはうれしい特典ばかりだが、イチオシは「ロスト・コネクションズ」。島にいる人々にそれぞれ実際にどんな接点があるのかがわかる(例えば、湾岸戦争中にサイドをとらえた軍人の一人がケイトの父親だった)。ディレクター、デイビッド・ラチャペルがUKチャンネルの番組宣伝用に作ったプロモーションビデオには、キャストが礼服に身を包みタンゴを踊る姿がスローモーションで映っている(これって、冗談だよね?)。「ソーヤーの世界」では、ソーヤーが各登場人物につけたニックネームやポップカルチャーを紹介。ちなみにジンは「チューイー」(スターウォーズに登場するチューバッカの略)、アナ・ルシアは「ポンス・デ・リオン」(プエルトリコ系の探検家)と呼ばれている。このコーナーも最高。(Ellen A. Kim, Amazon.com)