Collateral
価格: ¥1,994
マイケル・マン監督の大胆なアーバン・サスペンスは、ロサンジェルスのタクシー運転手(ジェイミー・フォックス)が、魅力的な組織の殺し屋、トム・クルーズによって深夜の運転をさせられる話だ。マン独特の折衷主義の映画音楽を好む傾向は、『Ali』でのエレクトロニカ満載のワールド・ビートから、『The Insider』の陰鬱でアンビエントなポスト・モダニズムまで、以前にもあらゆるジャンルを包括してきた。ここで、マンは効果的にさらに音楽の風景を広げ、LAの豊かな複合文化に響く音、ぴりっとして、新しいラテンのリズム、ウエロ・カネーロの「Calexico」、デスティーノ・デ・アブリルの情熱的な「Green Car Motel」を取り入れる一方、同時に裏世界のタフで都会的なグルーヴも採用。この雰囲気がプロデューサーのトム・ロスロックとアントニオ・ピントによって様々に増幅され、変則的なパルスと陰鬱なエレクトロニックの音景が広がり、ザ・ルーツやグルーヴ・アルマダのソウルの変奏となっている(後者の「Hands of Time」はベテラン、リッチー・ヘイヴンがヴォーカルにフィーチャーされている)。オーディオスレヴの「Shadows of the Sun」は現代のロックにエッジを授け、異彩を放つ「Spanish Key」はマイルス・デイヴィスのフュージョンの突破口となった『Bitches Brew』からの曲だが、この映画の不安な緊張感を繊細に盛りあげている。達人の技ですべてをまとめているのは、勇敢でリズミカルなキューを出している作曲家のジェイムズ・ニュートン・ハワード。(Jerry McCulley, Amazon.com)