映画ヲタクがしゃべくり倒す
★★★★☆
蓮実重彦がヲタク心を弾ませて内外の映画人たちと
語りあった対談集(インタビュー)
とくに巻頭のジョセフ・ロージーへのインタビューは圧巻
ファシズムや赤狩りという二十世紀のウルトラ・ハードな場面をくぐり抜けて
ちょっとやそっとじゃ心を許してくれなそうな亡命監督ロージー
(イメージだけど)
そのロージーをノセまくり
<いや、驚いた。あなたは私のことを完璧に知り尽くしてますね。>
とまで言わしめるハスミン
それを聞いて思わず
<敬愛する作家についてより多くの情報を吸収するのは、
オマージュとして最低限のことだと思ってます。>
などと、駆け出しの評論家のように初々しいリアクションをするハスミン
なんだかすごく嬉しそうです
そしてインタビューはロージーの
<あなたが私たちに示してくださった興味と感心とに感謝します>
という言葉で終わる
これが社交辞令でも何でもなく本心からの言葉だとわかる
下手したらSEXなんかよりも全然濃密でエキサイティングな時間を
ふたりは過ごしたんじゃないかと思えるほど
と、そんな蓮実重彦の映画ヲタ魂が横溢する
微笑ましくもスリリングな一冊でした