その昔、まだアップルのマッキントッシュが、漢字Talk７とか言うOSで動いていた頃。
　
「ファンタスマゴリア」というソフトウェア（環境ソフトの走りでもありましたね）は、まさに「絵本がそのまま球体＝途切れることなのない町から町へ移動できる世界」を提供してくれました。
１年間のカレンダーによる、表情の設定が全ての町にあり、サンタクロースの町では、通常月と１２月、さらにクリスマス直前で町が一変します。マクロメディア社（今はAdobeが買収）のディレクターで作られていたと思うのですが、このソフトのリバイバルを願うのは私だけでしょうか？
このDVDは、まさにそのマッキントッシュ用CD-ROMの世界から、いくつかを抜き出して画面を録画したかのような感じです。
DVDも良いのですが、自分で町から町にクリックして回れる、あのソフトウェアの再来を願うばかり。

動く絵本です。初めて見るのにどこか懐かしさを感じさせる綺麗な絵とやはりノスタルジックな手使海ユトロ氏の音楽、それを繋ぐ飾り気のないナレーション。これらの醸し出す不思議で緩やかな時間の中になぜかペーソスが漂っています。ＣＤ−ＲＯＭ版のPHANTASMAGORIAの各タウンの場面を切り出し、ひとつのストーリーにするとこうなるんだなと感じさせる構成の短編で創られています。逆にこちらのアニメーションからＣＤ−ＲＯＭ版にいくと、懐かしい風景があちこちの町にちりばめられていると感じるでしょう。ふたつの作品を味わってみて下さい。

まどろみを旅して見つけた小さな惑星、ファンタスマゴリア。
小さな惑星の小さな出来事を、ゆっくりと淡々と語る短編集です。
いい意味でいつの間にか眠ってしまうほどリラックスさせてくれました。
何度でも飽きずに見入ってしまいます。
疲れたときにもおすすめです。

次は何が起こるのだろう？という期待感が全編にあり、好奇心旺盛な子供と大人は惹き付けられると思います。ファンタジーな色彩も心地良く、休みの日にのんびり見るのには良いです。

ある一人の人物（？）が惑星ファンタスマゴリアの小さな国々を旅しています。彼が最終目的地につくと、物語は静かに終わります。
何かを教えようとするわけでもなく、ただただ、静かに始まって終わるファンタジーです。

登場する住人はみな、すこしうまくいかない悩みを抱えています。それぞれが、こっけいでいとおしい結末を見せてくれます。

どれも、美しい惑星で起こる日常なのでしょう。
ガラスの海、虹の絵の具工場、サボテンの国、サンタクロースの国のゆきだるま、なんでも四角いデジタルの国、短編ですから、いつ、どこを訪れてもいいのです。