必見です。
映像は映画本編の美術を、楽曲は既発のサントラから伊藤君子が歌う2曲を含む7曲が用いられており、「聴きどころ」といえる曲が選ばれているので、サントラを買うより、こちらで映像も楽しもう、という筋があってもいいだろう。またストーリー性などは特に持っていない(高度に抽象化されている)ので、映画を見る前に見てはだめ、というわけではないが、映画初見の衝撃を一気に強めたい人は、やはり映画本編を先に観た方がいいだろう。
それにしても、ここまで進化してしまったアニメーション技術は、逆にいよいよ収拾のつかない状況にあるのかもしれない。もはやアニメーションという定義が旧来の辞書的な意味では追いつかなくなっている。この映像詩を観てその感慨も新たにした。
日本のアニメって今どんななのだろうか、と興味本位で買ってみましたが、見ながら背筋に強い寒気を感じました。一部の隙もない張り詰めた空間、その凄まじいバランスの中に広がる仮初の実存域、強い忘我の効果がある音楽が相俟って、何ともいえない”狂気”を感じました。恐らく、本編を見ていないのでストーリーを感じるものが何もない、本当の情景を見ている所為かも知れません(極端かもしれませんが、深夜に時々放映されている自然の風景や動物と、ヒーリング系の軽音楽、あれの極めて遠いベクトルに位置している作品だと思います)。特に「follow me」が流れている時の、匂い立つような生々しい街角の風景は奇妙な切なさを感じさせます。映像自体は近未来ながらも自分の過去世を弄くられた思いがしました。とにかく驚きです。おいてきぼりを喰った感がありました。だけど、この映像や世界観に慣れていく自分が嫌だな・・・
それと、ボーナス映像。
あれが一番、心に響きました。ちょっと泣けました