Autobiography
価格: ¥2,257
アシュリー・シンプソンの『Autobiography』には、全体を通じ、多くのアーティストの影響が感じられる。その中に彼女の姉、つぶらな瞳で笑顔のまぶしいジェシカは含まれていないが、それは、ファンはもちろん、MTVでシンプソン姉妹の「ダークなほう」を観たひとなら誰にとっても驚くにはあたらないことだ。MTVといえば、迫力ある「Pieces of Me」がどんどん全国のラジオのプレイリストに載るきっかけとなり、このCDの内容に対するちょっとした熱狂状態をつくりあげた張本人でもある。ゴシップがつけた火をさらにかきたてるのが3曲目の「Shadow」。この曲で、19歳のアシュリーは、周囲の注目をさらっていた姉のキャリアに対して子どもの頃に感じていた怒りを吐き出している。そして和解するような調子で曲を終えているところが、非常に効果的に、シンプソン姉妹という2人のディーバのドラマを真実味のあるものにしている(「何もかももう平気……過去は過去だもの(Everything's cool now…and the past is in the past)」と、彼女は歌う)。だが、音楽そのものを愛するファンは、そんなセレブのゴシップにぐずぐずとかかずらうのはやめて、さっさと飛びこんでみるべきだ。このディスクは多くの人が想像する以上におもしろく仕上がっている。 「LaLa」では疑うことを知らない人間を元気いっぱいに励まし、「Love for Me」は恋に悩む者の上にどっぷりと不安を投げかける。タイトル曲は「愛してくれないなら消えてちょうだい」というきっぱりとしたロック賛歌。さざ波のように流れるのは器用に変幻するヴォーカルで、あるときはグウェン・ステファニーの影響を受けて子猫のように、またあるときはクリスティーナ・アギレラ風のカタルシス効果のあるサウンドにと趣を変える。甘さが勝っているときには、インディーズのジル・ソビュールの感受性を思い起こさせる。彼女のように簡単に売れっ子になったリアリティー番組的なほかのスターたちよりも声を大きくして、アシュリー・シンプソンの自伝は「続編をお楽しみに」と叫んでいる。(Tammy La Gorce, Amazon.com)