「わたしは輪の中から少し外れている、みんなから少し外れている」とデビュー作となる本作収録の「You Get Me」でミシェル・ブランチは歌う。ひょっとするとそうかもしれない。かき鳴らされるギター、軽いヒップホップ・ビート、静かなヴァースから大声のコーラスへ進むパターン、それに前向き思考の歌詞をごた混ぜにし、ブランチは見事に本作を作りあげている。最高作である「If Only She Knew」は別れた男にあてたストレートなラブレターで、ラジオ受けするナンバーとしてシックスペンス・ノン・ザ・リッチャーといったアーティストたちと張りあっている。本作はキャッチーなサウンドで自らを表現しているが斬新さはなく、レーベル仲間のアラニス・モリセットからソロになったベリンダ・カーライルまでさまざまなアーティストの音楽をなぞっている。ブランチはこの狂った混乱した世界で死にかけながらも、土砂降りの雨のなか太陽を求めて秘密の花園へ逃げ、ついには心が晴れわたってきた自分に気づく。本作はポップスによる人生哲学の新たな小さな一歩となり、リスナーを驚かすかもしれない。（Rickey Wright, From Amazon.com）