良作ノスタルジックアニメ
★★★★★
スタジオジブリ『魔女の宅急便』のスタッフ『サマーウォーズ』のマッドハウスが共同制作した作品です。
心地よさと不思議を混ぜ合わせたような冒頭シーンで物語に惹きこまれる。
舞台は昭和30年代の山口県で主人公の新子と貴伊子、そしてその周りの人間達を中心に日常の中に見る魔法を描いた感動アニメ。
オーディオコメンタリーで平安時代の考証をよくやっていることが分かり、2回目以降の視聴も違った角度から楽しめた。
各シーンには洋画からの引用も結構多いみたいです。
実際に子供がしそうなしぐさを取り入れ子どもらしい動きを上手く表現しているため、
子供達が気持ちをまっすぐに伝えようとするシーンに感情移入がしやすい。
アングルの使い方が巧く、自然の背景描写も秀逸、それに合わせた清涼感のあるサウンドは
是非5.1chで味わってもらいたいです。
15分毎くらいに上の内容で心動くシーンがあり、視聴後の満足度は高かったです。
おすすめです。
★★★★★
題名に魔法とありますが、人形的じゃなく現実的な世界観が強くあります。ノスタルジーというより、今に繋がっているストーリーで、新子がタツヨシに最後に言う言葉も。見終わった後、家の風景や世界が違って見えました。素直な気持ちになりました。いいものはいつみても古くならないので、この映画もこれから先そうだと思います。蜜につまっていて、最後までずっと生きているドキドキ感がありました。
心の中を大切にしているような映画で、特典のDVDもおもしろいんですがこういう人たちが作られた映画なんだと…素朴で真剣で。下調べから始まる様子が、命が吹き込まれてゆくようでした。特典DVDは時間が長いので半分ずつみてもいいかもしれません。監督さんや高樹のぶ子さんやみなさんの魅力が入っています。作った人たちが楽しい、観た人も楽しい、こびていない映画というか純粋に子供を愛している愛というのか…。絵も声も歌声も感動しました。
よかったです
★★★★★
冒頭からの三十分間画面にくぎ付けにさせられました。
自宅で映画を見るときはどうも数回に分けて見がちな私もこの作品はいっぺんに見ることができました。
出だしがものすごく巧いです。
静かな語りから始まり、タイトルが出て、メインBGMが流れる。ここでもう話の中に完全に引き込まれました。
「さあここでこうなるよ!これはね、こういうことをいっているんだよ」というような制作者側の野暮ったい説明が排除され
さらさらとした水のように進んでいくストーリー展開は見ていて非常に気持ちのいいものでした。
例えば、話の主軸に千年前の少女のシーンが、特に説明もなく、また大げさな演出もなく
すんなりと挿入されるというこの手法は独創的で大変興味深かったです。
ただ少し、様々な制約の中、どうしても淡白になってしまったような印象があったように感じた点だけは残念でしたが
全体的に見れば文句なく良作というべき作品だと思います。
次回作は是非劇場へ行きたいと思います。
後世に残すべき傑作
★★★★★
一つのアニメの到達点であり、最近の商業アニメの対極に位置する作品。
極端な表現をすれば、売れるアニメに不可欠な美少女と厨二病要素を極限まで排除した作品。
思いでぽろぽろの芸術性のみを極限まで追求した作品というか。
なのでヒットしなかったのは当たり前だと思います。
別に商業アニメを否定する気はありませんが(自分も観てますので)、そういった作品にばかり目が行ってしまい、本作のような作品にスポットがあたらず、作られなくなっていくのは非常に悲しいです。
内容についてはとりあえず見てくださいとしか言えません。
ここまで説明できない作品は初めてです。
上記に述べたような作品ですので、合わない人はいると思います。
子供目線で描かれた美しい話
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久々に心温まる、いい、アニメ作品に逢えたという気がします。予告を観たり、概略を読んだりすると、他愛の無い話のように思うかもしれませんが、これは人生において、何か大切なものを教えてくれる作品です。作り手の魂がこめられています。
現代(昭和30年)と千年前の話が、カットバックで交互に現れますが、違和感なく見れるのは、アニメならではで、そこも成功したポイントだと思います。
現代版の「ハイジ」だと言う人も居ますが、これはそれ以上です。子供の世界の現実と空想の物語で終わるかと思いきや、いきなり残酷な大人の世界が踏み込んできて、本作品の中でもっともドラマチックな話が展開されます。
子供目線での、日常の世界の様子や、大人の世界、そして友情が描かれています。観る人が大人であっても、いつの間にかこの子供目線の世界に取り込まれていってしまいます。千年前から変わらずに繰り返されてきた、子供同士の純真な友情が丁寧に描かれています。その上で、美しく耽美的な所もある素晴らしい作品です。
子供にも、大人にも、また昭和30年代を知っている方にも、万人に薦められる佳作だと思います。
ちょっと褒めすぎのような気がするので、何か書いておきたいのですが、刺激的なものや、ファンタジーを求める人にはちょっと合わないかもしれません。その一方で、審美的なものに価値観を置く人には、是非、お勧めしたい作品です。