その所以は、プラトーンの言をまつ迄もなく、人類の根元的な3種類の性愛のうち、「異性愛」はアンドロギュノスなる男・女の合体から生じ、「レスビアニスムス」は女・女の合体から、そして「男同士の愛」は男・男の合体から生じたものであり、「そのうち最も優れたるものは男同士で愛し合う者たち」だからです(もしも古代ギリシア人の見解が正しいのならば)。
閑話休題。「岩つつじ」の現代語訳や乱歩の「もくず塚」など一読に値する珠玉の佡品が揃っていて、関心のある方々には限りない魅力を湛えた良書と申せましょう。
さりながら、肝心要めの少年愛の本場たるオリエント・イスラーム世界の名高い詩や物語が殆ど全くと云ってよい位掲載されていないのは、いったい如何なる理由によるのでありましょうや。さらに中国の「後庭花史談」には誤字と思われる箇所があり、また香港の『中國同性愛史録』を参照されていない様に見受けられる点もあって、欠落部分の大きさが著しいあたりが極めて残念に存知ます次第。
よって敢えて4ツ星に留めおきました。