本作は西部劇映画に関する「薀蓄小説」としては稀に見る水準を実現している、したがっていわゆる娯楽小説の面白さとは少々趣きが異なる、ある映画の一つのシーンに関する分析がえんえんと続いたりするので、読者を選んでしまうことも間違いない、
このまま英訳すれば日本以上にアメリカでロング・セラーになるだろうと思う、ただし西部劇映画について多少の予備知識がなければどこがどう面白いのかさっぱりわからん、という状態になりかねません、1970年代以降生まれの若い読者であれば、例えばレンタルが容易に可能な「OK牧場の決闘」、例えばBSでよく放送されるリチャード・ウィドマーク主演映画やジョン・フォード監督映画、などを見た上で西部劇が自身の嗜好とあうかどうか確認のうえだページを開いたほうがいいでしょう、