The Stinky Cheese Man: And Other Fairly Stupid Tales (Caldecott Honor Book)
価格: ¥1,140
もしもガチョウにお墓があるなら、今ごろマザーグースも中で笑い転げているはずだ。『The Stinky Cheese Man and Other Fairly Stupid Tales』は、私たちがそらで覚えているつもりの寓話を語り直し、めちゃめちゃにしてしまう。有名なお話に不遜な手を加えたバージョンでは、醜いアヒルの子は醜いアヒルに成長し、カエルにキスをしたお姫様は両生類のヌメヌメが口の中に残るだけ。『The Stinky Cheese Man』はおとぎ話の伝統だけでなく、原書の意図そのものを打ち砕いてしまうのだ。いたずらな語り手ジャックは、構成などおかまいなしに扉や目次、見返しのページまでをも入れ替え、からかい、ふざけている。さまざまなキャラクターが、全編にわたり入れ替わり立ち代わり登場する。シンデレラがランペルスティルトスキンに肘鉄を食らわせ、豆の木のてっぺんにいる巨人は赤いにわとりをおやつに食べてしまうといった具合。教訓もなければ心に訴える道徳もない。そこにあるのは、あらゆる年代の利口者にウケるであろう、上等で風刺のきいた面白さだけだ。