長編ながらひとつひとつのエピソードの完成度は高く、実際に短編として「切り売り」されているという。ケラーのストイックなライフ・スタイルを書き込めば書き込むほどに、彼の生業としている殺人のリアリティは希薄になっていき、その筆のスムーズさには舌を巻かざるを得ない。
ただ、僕にはケラーとドットの会話に作りすぎたまどろっこしさを感じる。読み方によってはシュールなのだろうが、ちょっとイライラさせられるのも事実。でもそんな些細なことは気にならなくなるほど、のめり込むことも事実。
「アル中・スカダー」「泥棒・バーニイ」「殺し屋・ケラー」とアウトローの揃い踏みだ。早く次回作を読みたいよぉ。