元になった作品の世界観や設定をとにかく重視し、決められた枠の中に
綺麗に納めようとするスピンオフ作品が多い中で、作者のパワフルさと
オリジナリティが炸裂している作品だと思います。
パワフルと言っても、ただ勢い任せのギャグ漫画だという訳ではなく、
キャラクターを立てつつ、話の中にゲームや漫画やアニメからのネタや
パロディネタを入れ、その上で学園生活や日常生活でのエピソードに
オチをつけながら帰結へと導く話の流れは魅力的だと言えます。
元になったゲーム作品を知っていても知らなくても楽しめてしまう漫画。

作者のパロディネタを仕込むタイミングや使い方の巧さが光ります。
ただパロディ等がわりと古い作品から出ている事もあり、それらを全て
理解出来る知識があれば、より楽しめる作品だと思います。

本作は人気ゲームFate（ちなみにゲーム未プレイです）のスピンオフ作品と謳いながら、完全に己が道を行くパワーあふれる快作で、頻繁に叩き込まれる絶妙のオタクネタ中心のパロディと相まって存在感を強烈に発しています。

ちゃんとキャラが立っている。キャラに頼るだけじゃなく、ちゃんと「落ち」がある。
そして１巻目から３巻目までちゃんとその姿勢を維持している。

基本的なことですが、なかなか出来ないことです。決して稀代の傑作とか名作という訳ではありません。
しかし、ぱれっと系の中では（読者を楽しませようという意欲とそのことを通じて作者自身が描くことを心底楽しんでいるという点において）群を抜いている作品だと思います。