マイアミ・バイス シーズン1 コンプリート DVD-BOX
価格: ¥17,800
ヤン・ハマー作曲による、パーカッシブで推進力にあふれた「マイアミ・バイスのテーマ」が流れ始めると、いきなり1984年に戻ったような気分に。しかし、この大ヒット・シリーズは、その映画的センスといい、クールな衣装といい、必殺のサウンドトラックといい、懐かしさを超えて迫ってくる。現在見ても充分かっこいいのだ。そうでなければ、こんなボックス・セットがリリースされるはずもない。さて、『マイアミ・バイス』のヒップなノリには音楽が不可欠。サウンドトラックは、それまでにないやり方でストーリーを引っ張り、独特のムードをかもし出していた。というわけで、真っ先に気になるのは、DVD化にあたって使用音楽の著作権問題がクリアされているだろうか、という点だろう。パイロット版では、潜入捜査官のクロケットとタブスが手入れを開始する背景で、ちゃんとフィル・コリンズの「In the Air Tonight」が流れているだろうか? 第5話「切り札(One-Eyed Jack)」では、ボート上のソニーとジーナをエリック・クラプトンの「Wonderful Tonight」が優しく包んでいるだろうか? 本シリーズの標準的水準を示すエピソードと言える第14話「運び屋のブルース(Smuggler's Blues)」からグレン・フライの超名曲を取ったら、一体どうなってしまうのだ? ご安心頂きたい。ラジカセから聞こえるローリング・ストーンズからテレビでエルヴィス・プレスリーが歌う「Rubberneckin'」まで、放送当時に使用された先鋭的なサウンドトラックはDVDでもそのままだ。しかも、5.1chサラウンドの素晴らしい音響にバージョン・アップしている。
『マイアミ・バイス』はドン・ジョンソン、フィリップ・マイケル・トーマス、エドワード・ジェームズ・オルモスといったスターたちを輩出した。中でもオルモスは、寡黙で眼光鋭いキャステロ主任を演じてエミー賞に輝いた。彼が第13話「宿命の闘い! 地獄の三角地帯から来た闇将軍(Golden Triangle)」で格闘技を見せるところには、『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』のヨーダが大暴れするシーンにも似た驚きがある。また、第1シーズンでは、後にスターとなる俳優たちの当時の姿が見られるのもお楽しみだ。パイロット版には『L.A. LAW / 七人の弁護士』以前のジミー・スミッツが、第5話「切り札(One-Eyed Jack)」には『クライム・ストーリー』以前のデニス・ファリーナが、第6話「地対空ミサイル強奪! 武器密輸ルートを追え(No Exit)」には『こちらブルームーン探偵社』以前のブルース・ウィリスが登場する。『マイアミ・バイス』は刑事ドラマの伝統にネオンのような華やかさを取り入れた。そのファッション・センス(パステル・カラーのスーツ着用、ベルトなし、ソックスもなし)と静止画面の見事な使い方は、今もって見る者の心を捕らえる。『マイアミ・バイス』はテレビ・ドラマの流れを変えたのだ。このようなDVDセットがリリースされるのは当然のことと言える。(Donald Liebenson, Amazon.com)