本来、イエスの音楽性を証明するのに交響楽団は必要ない。たとえキーボードのリック・ウェイクマンを欠こうとも（今回は技巧派のトム・ブリスリンが参加）、彼らがプログレの第一人者であることに変わりはないからだ。メンバーは、ベテランの4人。ボーカルのジョン・アンダーソン、ベースのクリス・スクワイア、ドラムのアラン・ホワイト、ギターのスティーヴ・ハウ。そして、ここに加わるのが、画面に栄える若いメンバーで構成されたヨーロピアン・フェスティバル・オーケストラだ（2001年11月アムステルダム公演）。シンフォニーの演奏はイエスの楽曲に深みときらめきを与え、その壮大なサウンドは、フィル・スペクターの“ウォール・オブ・サウンド”の域に達している。収録曲のうち、3曲は2001年に発表の『マグニフィケーション』から。また、『リレイヤー』からは壮大な楽曲「錯乱の扉」を収録。これらの曲が収録されているだけでも、この作品がイエスのDVDの中で最高に価値があるものであることは間違いない。ライヴの裏側をとらえたドキュメンタリーはありふれているし、収録されたビデオは、『マグニフィケーション』の“ドント・ゴー”であるため収録曲と重なっている。しかし、多角的方向から映像を見られるオプションは面白い。また、DTSサラウンドにより素晴らしい音質を実現。楽曲を大音量で楽しめるのもうれしい。（Jeff Shannon, Amazon.com）