Candy
価格: ¥2,021
30枚以上のリーダー作を残したリー・モーガンだが、ピアノ・トリオをバックにしたアルバム、いわゆるワン・ホーン・カルテット作は本作が唯一。サックスの場合ならごく当たり前の編成であるワン・ホーン・カルテット。しかしトランペットの場合は楽器の性格上、ずっと一人で吹き続けるのは負担が大きいとあって、特殊なフォーマットといえる。それだけに、このアルバムは昔から人気がある。ピアノがソニー・クラークだという点も人気の秘密だ。
とにかく、タイトル曲がカッコいい。ジョー・スタッフォードやダイナ・ショアの歌でヒットしたおなじみのスタンダードだが、ここでは原曲の味わいとはまた違った軽やかな足取りで演奏しており、若さと小気味よさに魅了される。シナトラのヒット曲<4>もスッキリとした演奏だ。録音は58年。当時、リー・モーガンはニューヨーク・デビューからわずか1年後の19歳だった。56年に事故死したクリフォード・ブラウンにかわるトランペットの新星として華々しい脚光を浴びていた時代のみずみずしい作品だ。(市川正二)