スティーリー・ダンが1977年に発表した『彩(エイジャ)』。この名作の側面を垣間見ることができるのは、ファンにとって最高のご褒美だ。ジャズ、R&B、ロックやポップを融合させた珠玉の名盤を、詳細かつ愛情深く分析する。このドキュメンタリーを撮った監督は、固定概念抜きで作品にまっすぐに向き合うことで、作品に秘められた“論理”を明らかにしていく。ソングライターのウォルター・ベッカーやドナルド・フェイゲンは、いつもの皮肉な表現を潜めて自叙伝ともいうべき楽曲について語り、作品に流れる文化的な混沌や音楽的な野心について触れる。知的であり、時にとらえどころのない彼らを集約したこの点だけでも、過去になされてきたインタビューに匹敵する内容である。
メンバーの2人はもとより、プロデューサーのゲイリー・カッツ、エンジニアのロジャー・ニコラス、セッションに参加したニューヨークやLAの音楽シーンで活躍するミュージシャンたちが、曲と歌詞の両面から作品を徹底分析。オリジナルの面々による演奏と当時のマスターテープの両方を聴きながら詳細に振り返る。これらの分析から分かるのは、ベッカーとフェイゲンの作品は、おもしろい主題を持ちながら伝えたいことを明確に持ち確立された作品だということ。改めて探訪するにふさわしい繊細さと芳醇さをあわせもった音楽なのだ。(Sam Sutherland, Amazon.com)
世界最高のひねくれ者達
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通称:糖尿病アルバムといわれ、とにかく当時最高のミュージシャンを集めてしかもこの素晴らしいミュージシャン達に注文をつけているからこの2人は世界最高のひねくれ者達の称号に値する。兎に角、チャック・レイニー&バーナード・パーディのリズム隊は目から鱗であるので好きな方は鑑賞する価値あり。
アンチエイジングミュージック
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今聴いてちょうどいい。
ajaやgauchoが持つこのアンチエイジングパワーは一体なんなんだろう?
100年後に聴いてもきっとリアル。
自分の中では既にモーツァルトやバッハと並んでいます。
ともすると低級音楽と思われかねないロックにこれだけの普遍性を持たせた偉大な業績を垣間見ることができる幸福。
貴重なDVDです。
完璧を超えて自然に
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1977年に発表した『彩(エイジャ)』。この名盤の制作過程を振り返るように語るドナルド・フェイゲン、ウォルター・ベッカー。彼等はほとんどもの凄いチャンネル数のミキサーの前で語り続けるのだが、トラックを減らしたり、突出させて自分たちの頭の中にあるイメージにいかに近づけていったかを説明してくれる。その徹底ぶりはもの凄く、完璧を通り越して、最高のアドリブがあたかも自然に出てきたかのような状況を完璧に譜面でがちがちにしていながら感じさせてくれる。非常にすばらしいドキュメンタリーに仕上がっている。
ドナルド・フェイゲン、ウォルター・ベッカー、彼等2人には若さも見た目の良さもまったくない。あるのは極めて論理的な作曲・編曲能力と、ずば抜けた演奏の旨さと、組み合わせるミュージシャンを選び抜く耳である。およそロックの世界にはいなかった理論的作編曲家と言うことができるだろう。どの曲もどの曲も複雑なコード進行と複雑なコーラス、旨すぎる演奏である。
名盤『彩(エイジャ)』の誕生過程を完璧に理解できる必見の作品だ。
こよなく音楽を愛する人達 その愛が伝わってきます 至福の1時間余分です
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“Aja”は間違いなく音楽史上に残る傑作ですが、同時に謎の多いアルバムです。リアルタイムでこの究極のセッションアルバムを目の当たりにした時の好事家の驚きは想像に難くありません。後付けで聴いた私だって表題曲‘Aja’の長さと組曲的壮大さと、そして哲学的とも言える難解な歌詞に驚愕しましたよ。そしてこのDVDは“Aja”に対して前から抱いていた疑問を数々氷解させてくれる、まさに「秘話」が満載です。Ajaとはベッカー&フェイゲンの友人が結婚した韓国女性の名前である、なんて目からごそっと鱗が落ちました。「だからアルバムジャケットに山口小夜子を起用したんだ!」彼らの象徴主義的で不思議な詩の世界にビートニクスの影響が色濃いこと。そしてB.ディランが開いた地平に感化され、W.ベッカーが彼を大いに評価していること。等々、音楽については幾多の評者によって過剰なまでに語り尽くされてきましたが、こういう創作精神の根本について伝えてくれたテキストは初めてで、もうクラクラきます。
そもそも冒頭からデビュー間もない頃の‘Reeling In The Years’ライブ映像が流れて本当にファン垂涎の一枚です。気難しき完全主義者というレッテルの貼られているD.フェイゲンですが、このインタビューを見る限りでは言葉を一つ一つ選んで朴訥かつ真摯に語るその姿に「実は彼は不器用なまでに良い音楽を求めようとしていた職人気質の男だったのではないか」なんて思えてくるのです。そしてスタジオで再現される名曲達。20年以上経っても彼ら凄腕ミュージシャンの技量は衰えず、取り直しと編集を際限なく行ったであろう“Aja”の曲はライブで再現は無理だろうなんていう先入観を吹き飛ばす演奏を見せます。「やっぱり究極のセッション・ユニットだったんだなあ」テクノ音楽が幅をきかす前の、人の温もりのある至高の音世界がそこにあります。音楽を愛する人達へ、ひしひしと音楽への愛を伝えてくれる素晴らしいDVDです。
名盤AJAを語る証言
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~スティーリー・ダンの言わずと知れた名作「AJA」。ツアー嫌いで結局ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの2人だけになってしまったスティーリー・ダンは、スタジオでの制作に没頭しスタジオ・ミュージシャンを集め納得がいく音を追求して行く。そしてその頂点とも言うべき「AJA」を作りあげた。彼等の完璧な音への傾倒は昔から有名な話ではあるが、自身~~そして参加ミュージシャン等がこのレコーディングの模様を語る貴重な映像である。プロデューサーのゲイリー・カッツ、エンジニアのロジャー・ニコルズ、ラリー・カールトン、今は亡きイアン・デューリー等が曲ごとにコメントし、フェイゲン&ベッカーはミキシング・コンソールを操作しながらの曲の解説。「PEG」、「JOSIE」のスタジオ・ライヴも収録。数々のコメ~~ントがAJA制作の裏側を垣間見せる。~