小説吉田学校 [DVD]
価格: ¥5,040
戦後GHQ占領下の日本を独立させるべく、首相・吉田茂(森繁久彌)はライバル政党との確執などをくぐり抜けながら腐心する。やがて、ついに日本独立という悲願が達成させるが、その後吉田は政権にしがみつくようになり、三木武吉(若山富三郎)は彼を首相の座から引きずり下ろすべく、暗躍を始めていく…。
『八甲田山』など自然派超大作のイメージの強い森谷司郎監督が、戦後日本の歩みの裏に蠢く男たちの戦いをエネルギッシュに描いた政治群像劇。ここで繰り広げられる確執はまさに政治家版『仁義なき戦い』とも呼べるもので、吉田の愛娘(夏目雅子)以外一般人が登場しないのも逆に潔い趣向であり、こうした連中によって良くも悪くも日本人は戦後を歩んできたという事実を痛感させられるだろう。また吉田の孤独などを風景描写などで巧みに描いたあたり、さすがは大自然大作の達人監督とも言える手腕である。なお本作が森谷監督の遺作となった。(増當竜也)