品の悪さが透けて見える!
★★☆☆☆
演奏については、いろいろいじくっているはずなので、良くて当然か。ただ、「バイオグラフィー」という個所がいけない。冒頭から「20世紀を象徴する不世出の大指揮者」。こんな紹介をよくできたものだと思う。「カラヤン」を神話にしたい向きの、欲望が言葉に表れているように思う。
ライブ風イメージビデオ
★☆☆☆☆
このDVDを、ライブの記録映像と思って買ってはいけません。
私はこれならCDで良かったと思っています。
ライブ映像が映るのはカラヤン周辺のみです。
管楽器のソロ部分では、必ず別撮りの映像が挟まれます。
それが登場するたびに映像としての流れが中断されて、
私は音楽を感じる集中力もそがれてしまいました。
楽器を上げる角度をきっちりとそろえて、照明も当てて、背景もぼかして、
と明らかな演出がなされている、どこか古臭い映像です。
別撮りの映像では2番の管楽器奏者は楽器を口に当てるだけで
演奏していなかったりするし、全く気分が萎える代物です。
恐らく映像演出上、当時は良かれと思って入れたものなのでしょうが、
こんな映像ならない方がマシです。
ウィーンフィルのメンバーもよくこんな撮影に付き合ったなと思います。
(別撮りもまごうことなきウィーンフィルのメンバーです)
ライブ映像も、もう少しで管楽器が映りそうなのに映らなくて、
「もうちょっと後ろを写せ〜!」とストレスを感じます。
同じ楽友協会で70年代に撮影された、
バーンスタインとウィーンフィルのマーラーのライブDVDでは
十分全体が映っているので、撮影技術云々の問題ではなく、
これはカラヤン(とその周辺)の演出によるものだと思います。
カラヤンが映像の演出にこだわったというのは有名な話ですし。
クラシックを、映像作品としていかに鑑賞に堪えうるものにするか、
という試行錯誤の現れなのでしょう。
そういう時代だったのだとは思いますが、
ともかくもうカラヤンの映像作品は買わないことにします。
☆の評価は映像作品としてのものです。
演奏自体は素晴らしいだけに残念です。
老匠カラヤン
★★★★★
映像的なダイナニズムは感じられないが、ライブ録音ながら音楽的完成度の高さには驚かされる。さすがVPOといった感じだ。狭い楽友協会ならではのアングル的な難しさがあったのかも知れない。楽団員も心持ち緊張しているようだ。カラヤンの静的な指揮振りには老練の小気味よさすら感じられる。何度聴いても飽きない音楽的な演奏だ。
お得
★★★★★
演奏と映像は交響曲第5番が素晴らしい。この時期のカラヤンは既にかなり肉体的に衰えていたはずだが(翌年のドヴォルザークの第8交響曲と「新世界から」は演奏はいいが、往年のカラヤン・パワー《特に動き回る指揮》がすっかり鳴りを潜めてしまっていてドヴォルザーク・ファンにとっては残念至極である)、第5交響曲、とくに最終楽章のクライマックスのカラヤンの劇的な体の動かし方には興奮する。劇的な交響曲にふさわしいパフォーマンスだ。
ただ、カメラワークは疑問だ。ムジークフェラインのせっかくの華麗さを全然移しておらず、合唱を伴ったこの時期の曲ほどではないが圧迫感が多少ある。それでも145分入っているので、広くて大画面TVがある家庭であれば一家の財産になるだろう。
そこには、動きの激しいカラヤンが・・・・!
★★★★★
1980年代に入ってからのカラヤンといえば、舞台から落ちて腰を痛め、指揮の動作も緩慢になり顔も年老いて無表情で、痛々しいというイメージが強いのですが、このDVDでのカラヤンは本当に元気いっぱい、若い頃のような俊敏な動きが観られます。1年後の「新世界から」とは雲泥の差です。演奏もパワフルかつ繊細で歌に溢れ表情豊かで、文句のつけようがありません。
ただ1つだけ疑問があります。全曲ビデオ撮影のはずなのに、「悲愴」のカラヤンの姿だけフィルムのように見えるのはなぜでしょう?何か意図があるのでしょうか。それとも単にうちの機械がボロいから?