年代にとらわれない順序でここに並べられた18のシングル曲は、このバンドが一貫して恐ろしいほどレベルの高い活動を続けてきたことを物語っている。「The Great Beyond」のようなさほど評判にならなかった曲も、1990年代前半のおなじみのアンセムの数々にひけを取ってはいない。
もちろん、こういった編集ものには忠実なファンからの不満が付きものである。1996年に発表されたパティ・スミスとの魅力的なデュエット曲「E-Bow the Letter」が収録されているのはうれしいが、1992年の何とも泣かせる啓示的なチューン「Find the River」がなぜか入っていないので興ざめだ、という具合に。R.E.M.の偉大さをもう少しよく知りたければ、『Best Of R.E.M.』も聴いておく必要があるだろう。こちらは本作から抜け落ちている初期のハイライト・ナンバーを集めたものだ。
ちなみに、この息の長いバンドの全キャリアをまとめたボックス・セットがそう遠くないうちに登場するのではという推測も出ている。だが今のところは、この『In Time: The Best of R.E.M. 1988 - 2003』があれば充分だ。(John Mulvey, Amazon.co.uk)