実務的な知識を得たい人にはオススメできない。カコミで本文と離れたトピックスを紹介しているが、基本的には個別の研究を紹介したもので実務上のケースはない。本文も理論を一本調子に記述してあるだけで、簡単な例を挙げたり、要点を多角的に説明したりといった、読者に概念を活用させる・概念で遊ばせる工夫が少ない。もちろん実務に直結したデータ収集・分析手法が解説されているわけでもない。
また多数の著者により執筆されているせいか、章ごとのレベル・まとまりにばらつきがある。章によっては、体系的な整理なく概念が羅列してあるだけだったり、説明が不足しがちなところもある。
表現は、読みやすい部類の本とは違い少々高度で、大学生レベルと
言える。しかし、事例をトピックスとしていくつか取り上げており
興味を持ちやすい編集になっている。
執筆者が全て心理学専攻のためか、心理学的表現が多く用いられて
いるが、内容はマーケティング寄りなので経済学部生でも読める。
また、しっかりと語句の説明がされている。
何より、事項索引、人名索引が巻末にあるので、
試験勉強にも向いている。
マーケティングの心理学的アプローチを理解するには
とても優れた本である。心理学を学びたい経営学部生、
マーケティングを学びたい心理学部生どちらにもお勧め。