God's Son
価格: ¥661
ナズとジェイZを比べる必要があるだろうか? おそらく必要ない。けれども、このニューヨークで最高のMCのトラックを聴くと、リスナーは比べられずにいられなくなる。本作はジェイZのより洗練された『Blueprint 2』と真正面から張りあっても返り討ちにあうだけかもしれないが、ナズ自身の仕事は決して悪いものではない。実際、素晴らしく印象的なトラックがそろっている。「Made You Look」や「Last Real Nigga Alive」(「どうしてジガはひどい奴なのか」と語るナズの定番)はストリート志向の白熱したトラックだし、アルケミストがプロデュースした「Book of Rhymes」はファン待望のウィットに富みながらも内省的なリズムをもったトラックのお手本だ。だが、曲数を詰めこみすぎたことと、とっくの昔に亡くなった2パックとのまた新たな共演など、余計なゲストが多すぎたことが、本作のマイナス点になっているという印象は逃れられない。それに、限定盤特典のディスク2の女嫌いの退屈なナンバー「P***y Kills」はなくてもよかったはずだ。サラーム・レミによるビートを取り入れた「Zone Out」もその共演者より、いかしたライムの方が価値がある。そういった短所はあるものの、本作のほとんどのトラックではナズのフロウはしっかりと的を押さえている。(Rebecca Levine, Amazon.com)