一言だけ感想を書きます。
原作、あるいは原田知世版を知らない人が観たとして、このストーリーの意味が分かるの? 過去の一連の作品を知っている人(私も勿論知っている)なら感涙ものだけど、そうでないとケン・ソゴルと吉山和子の絆はいまいち分からないんじゃないか。120分超の尺があるんだから、その辺ももう少し丁寧に説明すべきでは。ストーリーはそれ単独でも完結して理解できる構造を持っていなければいけないと思いますよ。

　筒井康隆の原作にこれまで、様々な構成で多くの作品が制作されているが、私は、「原田知世」ヴァージョンのその後を描いているように思える。
　タイム・リープするのは同じでも、今回は、娘「あかり」が過去にタイム・リープする上、間違った時代に移動してしまう。高校生の主人公は、母の体験した時代の２年後に移動してしまう。１９７２年に行く筈が、１９７４年に移動し、映画監督になる希望を持つ「涼太」と共に「深町一夫」を探すが、なかなか手がかりをつかめない。そして、「涼太」は帰省するために深夜バスに乗車する。そのバスは事故で全員死亡する事を「あかり」が思い出し、バスから降ろそうとするのだが・・・、歴史は変えられない。
　この脚本は、歴史に残された事実は変える事が許されないという原則により、「涼太」が死んでしまう事を知っている「あかり」の姿がとても悲しい。現実は変えられないという悲しさが、これほど厳しい事を視る者に実感させる。
　エンディングで「あかり」が桜の中を歩んで行く姿が胸に痛い。
　よく出来ている作品ですね。

内容も問題なく楽しめた
あたりまえだがＤＶＤ版より画像が素晴らしいのが特徴で
なにより仲 里依紗がきれいだったのが印象に残る

何回もリメイクされているジュブナイルの古典「時をかける少女」であるが、ＮＨＫ少年ドラマシリーズに始まり、本作「仲　里依紗版」にいたるまで広く支持されている。今回の作品は原作のヒロイン芳山和子の娘、芳山あかりが時をかける。

「時かけ」の本質的な魅力とは何だろうか？平成の少女が昭和の「リアル神田川」の時代にタイム・リープして母の伝言を恋人深町に届ける。その使命の中で出会った青年、溝呂木涼太と共に過ごす内に、ほのかな恋心が彼女に芽生え始めてしまう。

原田版もＮＨＫ版も多くのファンに支持されたのは、誰の心にも覚えがあるだろう淡い初恋を思い出すからではないだろうか？

　　　　　　　　　　　　「記憶で忘れても、心で覚えているから。」

深町があかりを止めたのは過去を変えてはならないというルールを曲げないためだが、彼の脳裏をかすめたのは和子との出会いが、未来で娘あかりに悲しい思いをさせてしまったという贖罪の心持がなかっただろうか？記憶が消えても、この想いは消えない。世代を重ねても大切なひとを思う気持ちに
変わりがないのだ。

またいつか、少女が時を駆け抜けるかもしれない。

ヘンな顔も、切ない顔も表情豊かな仲さん。この映画はあなたが歳を重ねても輝き続けますよ。これは私の解釈ですが、あかりの性格は父親の性格をよく継いでいるように思います。2010年に時をかけぬけた少女の物語を原作も、過去のシリーズをご覧になったことのないみなさんにも想いが届くといいなと思います。

　　　　　　　　　　　　「いっけーーーーっ！」

紺野真琴と芳山あかりを素敵に演じてくれた仲さん、ありがとうございました。たくさんのみなさんにご覧いただきたい作品です。

個人的にはもう映画のソフトはDVDとBlu-rayを同梱した通常版と限定版の2種類だけで良いような気がします。
こういう分け方をしてBlu-rayの限定版が出ないので、結局通常版のBlu-rayと限定版のDVDを予約しました。
特典を欲しいと思うコアなファンの方がよりBlu-rayを求めると思うのですが・・・

そんなわけで劇場には３回足を運びましたが★は-1です。