シド・バレットの真価が良く判る、ファン必携もの!
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巨大なバンドに成長した「Pink Floyd」の原点をこれほどまで丁寧に表現している点に感謝したい。従来(私も)は、「Pink Floyd」と言えば、「原子心母」や「狂気」などのアルバムから入り、「過去にはこんなポップチューンも演奏していたんだ」という程度にしか初期(シド・バレット時代)のアルバムは評価されていなかった。唯一、他のアーチストには聴けない奇妙なサウンドには、多くの人が魅せられていたと思う。しかし、「ピーター・ホワイトヘッド」監督の資金提供により1967年1月11日にデモ・セッションした「Interstellar Overdrive」(16分46秒)と「Nick's Boogie」(11分50秒)の映像は貴重です。ファーストアルバムに収録された「Interstellar Overdrive」よりもアドリブが長く、セカンドアルバムのイメージが強い。
もう1曲の「Nick's Boogie」は、既にセカンドアルバムの表題曲の原形(アルバム曲よりもテンポは遅いが、DVDの「ライブ・アット・ポンペイ」でギルモアがギターを置いてボトルネックで演奏するアドリブを、シドは「ライター」を使って演奏している)が視られる。
よく言われる「ファーストアルバム」と「セカンドアルバム」は別のバンドが演奏しているようだ!という感想は、これを見れば撤回せざるを得なくなるでしょうね。実際「セカンドアルバム」にはシドが作曲した「シー・ソー」なども収録されており、バンドの過渡期であった事は明らかです。昨年、60歳で天に召された「天才シド」の才能に、ロジャー・ウォーターズならずとも気が付くでしょう。
ファン必携!なお、この2曲のCDもついている事。このフィルムドキュメントには「Sgt.」時代を彷彿とさせるジョン・レノンの姿も映っています。