Pink Floyd: Live at Pompeii, The Director's Cut [DVD] [Import]
価格: ¥849
『ピンク・フロイド・ライブ・アット・ポンペイ』は、フランス人監督、エイドリアン・メイベンが“ウッドストック以降の映画”として着想した作品だ。撮影されたのは1971年10月。約2000年前に建立された円形劇場が舞台となった。当時はアルバム『おせっかい』が発表されたころ。入場者が誰もいない空虚な場所が、バンドの威厳や壮大さを際立たせている。本作品には、オリジナル版の60分のコンサート映像に加え、90分にわたるディレクターズ・カットを新規に収録。オリジナルのコンサート映像のプロダクションやエフェクトは、今となっては時代遅れとしか言いようがないが、メイベン監督が選び取った追加映像は十分な長さがあり、なぜか現代的なものを感じさせる。追加された映像も素晴らしいが、この作品が珠玉の名作たるゆえんがオリジナル版にあることに変わりはない。音楽そのものに焦点を当てながら、映像として全体的なものをとらえているからである。アスペクト比16:9のアナモルフィック・ワイドスクリーン版で収録されたディレクターズ・カットは、ポンペイでのパフォーマンスと、インタビューや後に撮影された映像(主に『狂気』レコーディング時のもの)を織り交ぜた形で構成される。インタビュー自体はとても魅力的なのだが、断片的に挿入されるため、気が散るのは否定できない。この映画は、もともとアスペクト比4:3で収録されていた。しかし、「吹けよ風、呼べよ嵐」でのドラムのニック・メイスンの姿はワイドスクリーン版の方がイメージをより確実にとらえているかもしれない。ギターのフレットやキーボードを押さえる指の動きに接近した映像がふんだんに織り込まれているのもオリジナル版の特徴。しかも、たっぷりと見せてくれるからたまらない。画質も実に素晴らしい。シャープかつクリアでありながら、光彩や細かい色合いに至るまで細密に表現されている。
特典も豊富だ。オリジナルのポスター、レビュー、ブートレグのアルバムカバー、歌詞、そして24分間に及ぶエイドリアン・メイベンのインタビューが含まれる。しかし、音質は別の話だ。監督はポンペイの円形劇場という環境で奏でられるアコースティックの音の素晴らしさを語っているが、やはり音響の面では望ましいとはいえないだろう。ドルビー・デジタル2.0はクリアで乾いた音を実現している。ニ次元的ではあるが、今までにリリースされた音源に比べるならば格段に良い。(Michael Mikesell, Amazon.com)