ミステリーに非ず
★★★★☆
どうジャンル分けしたものかちょっと判断がつかず、途惑いの大きい作品ではあります。あらすじや各章のタイトル、または作中に漂う雰囲気から一見してミステリーかと思わせられるのですが…
あったかもしれない未来という名の可能性から逃げた男と、未来という名の逃げ道を持たない男との対比。そしてこの物語は「あした」「未来」という言葉から想起する輝かしいイメージを覆し町の秘密に重ねて「きのう」の確かさという極当たり前の事実を目の前に突きつけてきます。
何味か分からないキャンディを口の中で転がすような、そんな風に楽しめる作品です。お一つ如何?