2004年4月~6月、フジテレビ系で放映された、菅野美穂・藤木直人主演のヒューマンラブストーリー。原作は、さだまさしによる感動作『解夏』。小児科医として活躍する女性と、難病に冒された男性のせつない愛のかたちを描いており、人を受け入れること、包み込むこと、なによりも相手のためになにができるかを誠実に考えて生きることの尊さを教えてくれる珠玉の物語。抜きん出た演技力を誇る菅野が、おそらくは自らが芯にもつ強さや慈愛を恋人や子どもたちに惜しみなくそそぐ姿には、神々しささえ感じる。女優・菅野美穂の卓越した美しさ、優しさに触れられる作品。――陽だまりのように明るい女性・四季(菅野美穂)が恋した男性・俊介(藤木直人)は、3か月後に視力を失うという運命を抱えていた。それを知った彼女は…。(みき~る)
玉木宏の折原新吾
★★★☆☆
ヒロイン「友川四季」の学生時代からの友人で、片思いには答えてもらえない役だが、3ヶ月後に失明するカメラマン「安曇俊介」という、悲劇を背負った役の藤木直人のかもしだす“陰”に対して、玉木宏の“陽”が輝く。片思いの恋を押し出せない自分のふがいなさに苦しむ表情も見せるが、それも含めて、今よりずっと荒削りな若さがあり、全体の印象は“さわやか全開!”というところだ。「(千秋)王子」の風格はもちろん、繊細さや妖しさも、まだ漂わせていない。最後にはもう一人の友人「朝倉亜衣」と結ばれる。
四季の実家・友川米穀店は父と弟の三人家族だが、そこへシングルマザーの亜衣を同居させ、コック見習いの新吾が作る食事をみんなで食べるシーンが良く出る。泉谷しげるの父、森山未来の弟で、男三人の絡みは楽しい。
美しい話ではありますが・・・
★★★☆☆
この物語で起こる出来事は、実際にあり得ることだと思います。
この作品を通して、愛に触れることができ、その無償さには感動させられるものもあります。
ラストシーンは、主人公が失明してしまう瞬間を映しています。
美しくまとめられた作品だと思います。
でも、問題はここから先なのだと思うのです。
光を失った人間とともに伴走するように生きていくということがどういうことなのか、そちらの方が苦しくつらい生活なのだと思います。
最終回の時点で、この二人は自分たちの人生の出発点に立ったのです。
人生は、美談だけでは終わらないものです。この先の展開を踏まえて、回答らしきものを考えなければならないとも思います。
愛するということ
★★★★★
さだまさしさん原作で映画化された<解夏>を下敷にしているのを知らず観ました。素晴らしいドラマでした。ラストシーンは判っていても、菅野美穂さんの空に溶け込んでいくような切なく美しい笑顔は最高です。
紆余曲折を経て晴れて人生の伴侶を得たふたりが、挙式後の自宅で並びそっと手を握り締める場面には涙が止まりませんでした。
人生で最も幸福な瞬間にあって、光を失うまでに残された時間は限りなく迫っている…そんな複雑な心境の中静かに、でも確固とした強い瞳で真っ直ぐ愛する人を見つめる菅野さんの表情に感動しました。一点の迷いも後悔もなく、明日へと一緒に歩いていこうという力強い優しさ。“透明感”を纏いながらも凛として意志の強い女性らしさを演じさせたら、多分彼女が最高峰だと思います。すごい女優さんになられましたね。
愛するということは、自分以外の誰かのためにすべてを捧げられること…犠牲とは違いますね、本当に心から相手を思いやれる、母が我が子に捧げる無償の愛に近い愛情深さを感じました。隣りにいる大切な誰かの手を握り締めてあげたくなるような素敵なドラマです。明日に希望を感じさせるような。
まっすぐに、大事なものとしっかりつながっていく人生
★★★★★
多くのレビューにあるように、「愛し君へ」は素晴らしい作品と思います。なぜこれだけ人々の心を動かすことができるのでしょうか。私はこの物語の登場人物がみな出会いや縁を大切にして、どのような環境にあっても周囲の人々を真剣に思いやり、ずっとつながり続ける覚悟を持っているからだ思います。その一途さ、澄んだ心が伝わってきます。一方、現実には私たちの多くは、多くの場合近くに置きたい人、遠ざけたい人などを無意識のうちに決めつつ自分が息苦しくない程度に、周囲との距離を調整して過ごしているような気がします。
四季は亡くなった友人の兄であるカメラマンの安曇俊介と出会います。第一印象が非常に悪かったにも係わらず、簡単に遠ざけようとせず、必死に俊介の心を探ります。俊介のやさしさ、仕事にかける情熱、そして心の翳りさえも理解し愛するようになります。彼がやがて失明の運命にあると知ってからも、俊介にとって一番よい方法を考え抜き、最終的に自分が一生近くにいるという判断をします。その時々の感情の移り変わりを菅野美穂さんは豊かな表情で表現します。
脇役では、身近な者を思う人の優しさを演じさせたら本当にうまい泉谷しげるさん、時任三郎さんは今回もテーマを支える重要な役を十分こなしています。友川四季というまっすぐで芯の強い女性が育ってきた環境、二十数年の背景を見るものに納得させる、印象深い演技です。
私は購入から数年経った今も、時々DVDを取り出しては人を思いやりまっすぐにに生きる人生の素晴らしさに浸っています。趣きある路面電車の動きに合わせて撮影した長崎の風景、出演者インタビューの含まれた特典もとてもよく、CM等の中断がないDVDの良さを十分堪能できる作品です。
思いっきり泣けます!
★★★★★
愛するが故の「思いやり」。真の「優しさ」とは・・・。真の「愛」とは・・・。不変のテーマを王道のドラマ演出手法を巧みに使いながら、泣かせてくれる作品です。こっそりボロボロ泣きました!「切ない」系や「すれ違い」系が好きな人は間違いなくハマるはずです!!